iPS心筋シート「リハート」移植患者が会見|保険診療の初症例、術後経過を報告

2026.10.22
心臓の模型と薄い細胞シートを描き、iPS心筋シートの保険診療での初移植と患者の術後会見を伝えるイメージ画像

■ リハートの移植患者が会見、術後の経過を報告

大阪けいさつ病院でiPS細胞由来心筋細胞シート「リハート」の移植を受けた患者が、2026年10月21日の記者会見に参加した。関西テレビの報道によると、病院側は術後の経過が順調と説明し、患者は今後の生活への期待を語った。移植手術が行われたのは9月29日で、10月21日はその後の経過を伝える会見の日に当たる。

■ 保険収載後の初症例、治験での移植とは区別

リハートは、クオリプスが開発した再生医療等製品。病院と同社の発表によると、9月29日の手術は保険収載後で初めての移植だった。同社は9月1日付で公的医療保険の適用を受け、保険診療で使用できるようになったと説明している。

iPS細胞由来心筋細胞シートの人への移植自体は、今回が最初ではない。大阪大学は2020年1月に、医師主導治験の第1例目への移植を実施したと公表している。今回の節目は、研究段階の初移植ではなく、保険診療での使用が始まった点にある。

■ 対象は標準治療で効果不十分な重症心不全

リハートは、他人由来のiPS細胞からつくった心筋細胞をシート状にした製品で、心臓の表面に移植する。承認された対象は、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で十分な効果が得られない、虚血性心筋症による重症心不全の治療である。心不全の患者すべてに適用されるわけではない。

厚生労働省の資料では、2026年3月6日に条件及び期限付きで承認された。PMDAの審査報告書に示された承認の期限は7年で、使用する全症例を対象とした製造販売後調査などを行うことが条件となっている。

■ 治療への期待と、有効性の検証を分けて捉える

今回の会見は、保険診療での初症例の経過を知る機会となった。一方、術後の経過が順調との報告だけで、長期的な心機能の改善や治療効果が確定したと受け取ることはできない。

PMDAは審査報告書で、一定の有効性が期待でき、安全性は許容可能と評価する一方、情報が限られるため、承認後も有効性を継続して評価・確認する必要があるとしている。新たな治療の選択肢への期待とともに、今後の症例の蓄積と検証を見守る段階にある。

また、承認条件には、重症心不全の治療や開胸手術に十分な知識・経験を持つ医師が、治療体制の整った医療機関で使用するための措置も盛り込まれた。保険適用の開始を、誰でも直ちに受けられる治療の普及と同一視しないことも重要である。

出典:大阪けいさつ病院「重症心不全に対するiPS細胞由来心筋細胞シート移植手術を実施しました」(2026年9月29日)
クオリプス「リハート 第1例目の移植実施に関するお知らせ」(2026年9月29日)
関西テレビ/FNNプライムオンライン(2026年10月21日会見報道)
大阪大学「iPS細胞から作製した心筋細胞シートの医師主導治験の実施」(2020年1月27日発表)
厚生労働省「iPS細胞製品の承認について」(2026年6月16日、資料記載14頁)
PMDA「リハート」審査報告書・審議結果報告書

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