厚生労働省は10月14日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、デイサービスなどの共同送迎について、同乗者の範囲を児童の通園・通学や地域の買い物支援などへ広げる案を示した。
雇用契約や業務委託契約などによって責任を明確にすることが前提となる。通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護について提案し、通所リハビリテーションでも同様に検討する。
2027年度介護報酬改定に向けた案であり、新たな同乗の取り扱いが決まったわけではない。
■ 現行でも他の介護・障害福祉事業所との同乗は可能
共同送迎は、複数の事業所の利用者を同じ車両で送迎するなど、事業所間で連携して移動を支える仕組みである。
現行でも、必要な雇用契約や委託契約を結び、費用負担や責任の所在などを事業所間で取り決めれば、他の介護事業所や障害福祉サービス事業所の利用者を同乗させることが認められている。
厚労省の令和6年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.1・問66、問67では、雇用契約に基づく同乗や、第三者への送迎業務の共同委託について説明している。
送迎範囲は、利用者の利便性を損なわず、各事業所の通常の事業実施地域内とすることなどが条件となっている。
■ 通園・通学や買い物支援との同乗へ範囲を拡大
今回の厚労省の分科会資料は、他法人・他事業所と連携する共同送迎の取り扱いを、より明確にする方針を示している。
そのうえで、介護報酬上「送迎を実施した」と認める同乗の範囲を、現在の介護・障害福祉サービス利用者から、児童の通園・通学や地域の買い物支援などへ広げることを提案した。
焦点は、異なる目的で移動する人との同乗を、介護サービスの送迎としてどのように扱うかという点にある。通園・通学や買い物支援そのものを介護保険給付の対象にすることが示されたわけではない。
■ 背景に送迎職員の不足と車両・燃料費の負担
厚労省は、送迎を担う職員の確保が難しく、燃料費や車両保有にかかる経費も事業所の負担となっていることを背景に挙げた。
一方、公共交通や委託先となる事業者が少ない地域では、共同送迎や外部委託を進めること自体が難しい場合もある。
今回の案は、介護の送迎を地域の移動支援と組み合わせ、限られた職員や車両を有効に活用する方向を示すものだ。実際の負担軽減効果は、送迎ルートや時間帯、連携できる相手などによって異なるため、現段階で一律の効果を見込むことはできない。
■ 契約と責任の明確化が前提、詳細は今後の検討
同乗範囲の拡大に当たっても、従来の共同送迎と同様に、雇用契約や業務委託契約などによって責任を明確にすることが前提とされている。
事業所が今後の具体案を確認する際には、費用負担や事故・緊急時の対応、利用者への影響などが実務上の確認点となる。
今回の提案だけで、誰でも自由に同乗させられるようになるわけではない。対象となる移動支援の範囲や運用条件について、今後の審議と正式な通知・Q&Aなどを確認する必要がある。
