厚生労働省は11月6日の社会保障審議会介護給付費分科会で、通所系サービスに対し、身体拘束の適正化に向けた委員会の開催、指針の整備、定期的な研修を義務付ける案を示した。措置が講じられていない場合の基本報酬減算と、一定期間の経過措置も提案している。
デイサービスなどで、身体拘束を避けるための判断や対応を個々の職員だけに任せず、組織として検討・共有する体制を広げることが焦点となる。現時点では審議会に示された案であり、実施が決定したものではない。
■対象は4種の通所系サービス
厚労省の資料3(28ページ)が挙げる対象は、通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護の4種である。
資料は、通所系サービスでは一定時間、事業所の運営管理の下でケアが提供される点に着目している。すでに同様の措置が義務付けられている施設系サービスなどと共通する特性があり、組織的な体制整備がより求められるという考え方だ。
■原則禁止と記録義務は、すでにある
今回の提案は、通所系サービスで初めて身体拘束を禁止するというものではない。2024年度改定では、通所系を含むサービスについて、利用者などの生命・身体を守るため緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束等を行わないことと、行った場合の記録が義務付けられた。
記録には、拘束の態様と時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由が含まれる。これに対し、今回拡大が提案されたのは、適正化のための委員会、指針、定期研修という組織的な措置である。原則禁止・記録と、体制整備の義務を分けて捉える必要がある。
■減算や経過措置の詳細は今後の検討
施設・居住系に加え、2024年度改定では短期入所系・多機能系サービスにも適正化措置の義務付けが広がった。今回の案は、その対象を通所系へ広げる方向となる。
措置等を実施していない場合には基本報酬を減算し、一定期間の経過措置を設ける案だが、今回の対応案には通所系の具体的な減算率や経過措置の長さは示されていない。他サービスの過去の減算率・期間を、そのまま通所系に決まった内容として扱うことはできない。
通所系の事業者にとっては、既存の身体拘束に関する対応を確認しつつ、今後示される委員会・指針・研修の具体的な要件を見極める必要がある。利用者の尊厳を守る日々のケアと、事業所全体で判断を共有する仕組みを結び付ける提案である。









