前立腺肥大症

(ぜんりつせんひだいしょう)とは?
benign prostatic hyperplasia
(ビナイン・プロスタティック・ハイパープレイジア)
【略:BPH】
別名・関連する表現:前立腺肥大、BPH

ひとことでいうと

膀胱の出口を囲む前立腺が大きくなり、尿が出にくい、回数が増えるなどの排尿の困りごとを起こす病気です。

前立腺肥大症

(ぜんりつせんひだいしょう)の意味

前立腺肥大症は、男性の膀胱の出口にある前立腺が大きくなり、尿の通り道や膀胱の働きに影響する病気です。前立腺が大きいだけで必ず症状が出るわけではありません。尿が出にくい、勢いが弱い、排尿に時間がかかるなどの困りごととして現れます。

加齢や男性ホルモンに関連する変化が背景となり、高齢男性で多くみられます。尿の回数が増える、夜に何度も起きる、出し切れない感じがあるといった症状も起こります。進行すると膀胱に尿が残り、尿路感染症や腎機能への影響、急に尿が出なくなる尿閉につながることがあります。

高齢者では、夜間の移動による転倒や睡眠不足、外出を控えることなど、生活全体に影響します。本人が恥ずかしくて訴えない場合もあるため、排尿の変化と困りごとを尊重して聞き取ります。尿漏れがあっても尿が十分に出ているとは限らず、自己判断で水分を減らさないことが大切です。

診断では症状、尿や前立腺の状態、排尿後の残尿などを確認します。前立腺がんなど別の病気との区別も必要です。治療は病状に応じて生活上の調整、薬、手術などを検討します。介護では排尿の記録と安全なトイレ動作を支え、薬の変更や新しい症状を医療職へ共有します。

尿漏れがあっても尿閉を見逃さない

尿が少しずつ漏れていると、「排尿できている」と思いやすいものです。しかし、膀胱に尿がたまったまま少量が漏れることもあります。尿漏れの量だけでなく、通常の排尿ができているか、尿意や下腹部の張り、出し切れない感じも確認します。

排尿時刻や回数、分かる範囲の尿量、夜間の状況を記録すると、医療職が経過を把握しやすくなります。介助者が残尿の有無を判断したり、下腹部を強く押して尿を出そうとしたりせず、普段と異なる出にくさは相談します。

風邪薬など一部の市販薬や処方薬が尿の出にくさに関係することがあります。新しい薬を使うときは、前立腺肥大症があることを医師・薬剤師に伝えます。排尿が不自由でも我慢を強いたり、一律に飲水を減らしたりせず、個別の方針を確認します。

現場で知っておきたいポイント

介助者は排尿の普段との違いと生活への影響を観察・記録し、本人の尊厳を守りながら医療職へ共有します。診断や薬の調整は行いません。

  • 尿の勢い、出始めるまでの時間、途切れ、残尿感と変化の時期を確認する。
  • 昼夜の排尿回数、尿量の目安、尿漏れ、下腹部の張りを記録する。
  • 夜間の照明や動線を整え、急がせず安全なトイレ移動を支える。
  • 使用薬の変更、立ちくらみ、発熱、排尿痛や血尿を医療職へ共有する。
  • 排尿の我慢、自己判断での飲水制限、下腹部を強く押す対応を避ける。

相談時は最後に通常の排尿ができた時刻と、尿意・痛みの有無も伝えます。薬の中断や変更は医療職に確認し、本人が話しやすい場所で困りごとを聞き取ります。

尿意や下腹部の痛み・張りがあるのに尿が出ない場合は、経過観察を続けず速やかに医療評価につなげます。強い痛み、発熱や急な全身状態の悪化も早急に共有します。

関連する用語

参考情報・参考文献

日本泌尿器科学会「尿が出にくい・尿の勢いが弱い・尿をするのに時間がかかる」

前立腺肥大症と排尿症状、受診の必要性を確認。

https://www.urol.or.jp/public/symptom/05.html

参照日:2026年10月4日

京都大学医学研究科 泌尿器科学教室「前立腺肥大症」

症状、検査と治療の概要、尿閉や薬に関する注意を確認。

https://www.urology.kuhp.kyoto-u.ac.jp/general/sick/prostatic-hypertrophy.html

参照日:2026年10月4日

日本泌尿器科学会「尿がまったく出ない」

尿閉の原因と緊急の医療対応が必要なことを確認。

https://www.urol.or.jp/public/symptom/06.html

参照日:2026年10月4日

もくじ