遊脚期
ひとことでいうと
遊脚期
遊脚期(ゆうきゃくき)とは、歩行周期のうち、観察する足が地面から離れている時期です。その足の離地から次の接地までを指し、英語ではSwing Phaseといいます。地面について身体を支える立脚期に対し、下肢を前方へ運んで次の接地につなげる区間です。
遊脚期には、股関節や膝の動き、足関節の調整などによって足を前へ運びます。同時に、足先が床から離れる余裕を確保し、進む方向や接地位置を調整します。最後には下肢の動きを減速して、足が地面についたあとに身体の重さを受ける準備をします。
通常の速さの歩行では、一周期の約40%が遊脚期となることが目安です。遊脚初期、遊脚中期、遊脚終期に分けて考えられます。片方の足が遊脚期にある間は、反対側の脚が地面について身体を支持するため、足の運びと反対側の支持を一緒に捉えます。
遊脚期の足先が床に触れたり引っかかったりすると、つまずきにつながる場合があります。ただし、足が上がらない理由は一つではありません。筋力、関節の動き、感覚、痛み、神経の障害、靴や床面などが関係します。見た目だけで特定の筋肉の弱さと決めず、専門職の評価に基づいて支援します。
足の振り出しとつまずきを分けて評価する
「足を高く上げればよい」と一律に考えるのは適切ではありません。足先の床からの離れ方には、股関節・膝・足関節の動きと身体の位置が関わります。足の運びと支持側の安定性を合わせて評価し、どの場面で床に触れるかを確認します。
例えば足首が下向きになって足先を引っかけやすい場合には、足首だけでなく膝や股関節、感覚などの状態も確認します。下肢を外へ回す、体幹を傾けるといった動きが、足を運ぶための代償として現れることもあります。代償動作を見つけても、その理由を評価せずに動きを禁止しないことが大切です。
介護現場では、つまずいた足、床に触れた位置、靴、疲労や介助量を記録します。必要に応じて装具や歩行補助具、練習方法、段差への対応を専門職と検討します。本人が安全に移動できる方法を優先し、見た目の歩き方を整えることだけを目的にしないでください。
現場で知っておきたいポイント
遊脚期は足を運ぶ時期ですが、介助では反対側の脚で支えられるかも重要です。普段の歩行で安全に見える範囲を観察し、変化を具体的に伝えます。
- 右足・左足のどちらが、どの場面で引っかかったかを見る。
- 足先の離れ方と、膝・股関節や体幹の動きを観察する。
- 床の段差、敷物、靴の適合などの環境を確認する。
- 疲労や急いだときに足の運びが変わらないかを記録する。
- 装具や杖、歩行器の使用条件と介助量を共有する。
観察のために補助具を外したり、無理に大きな一歩を求めたりしないでください。足先を上げる声かけだけで改善しない場合は、理学療法士などへ支持と足の運びの評価を相談します。
新たなつまずきや足の動かしにくさ、強い痛みがあれば安全を確保して報告します。急な身体機能の変化を放置しないことが大切です。以前との違いと発生した場面を伝えてください。
参考情報・参考文献
オクラホマ大学健康科学センター「Gait cycle terminology」
遊脚期の離地から接地までの区分と、遊脚初期・中期・終期の構成を確認。
https://ouhsc.edu/bserdac/dthompso/web/gait/terms.htm
参照日:2026年10月13日
カリフォルニア州立大学 Pressbooks「Introduction to Human Gait」
下肢の前方への移動、支持脚との関係、歩行の変化を単一原因に結び付けない評価の視点を確認。
https://pressbooks.calstate.edu/humanneuromechanics/chapter/introduction-to-human-gait/
参照日:2026年10月13日
