下垂足
ひとことでいうと
下垂足
下垂足とは、足首を上に反らす背屈や足指を伸ばす動きが弱くなり、足先を十分に持ち上げられない状態です。英語ではfoot dropまたはdrop footといい、現場でドロップフットと呼ばれることもあります。
歩行中に足を前へ運ぶとき、つま先が床に触れやすくなるため、つまずきや転倒につながります。足を引っかけないよう膝を高く上げて歩くなど、歩き方が変わることがあります。下垂足は病名そのものではなく、運動の障害を表す言葉です。
原因には、足首を持ち上げる筋肉を支配する腓骨神経の障害、腰部の神経への圧迫、脳卒中などがあります。腓骨神経は膝の外側で圧迫されやすく、長時間の同じ姿勢や固定具の当たりが関係する場合もあります。しびれを伴うかどうかは原因によって異なります。
つま先が下を向く尖足と見た目が似ても、下垂足は主に自分で持ち上げる力の低下に着目した用語です。足首が硬くなる拘縮を伴う場合もあります。医師が筋力、感覚、関節の動き、歩行を評価し、必要に応じて検査で原因を調べます。
つまずきを減らす工夫と装具の役割
下垂足への対応は原因と経過によって異なります。リハビリテーションや装具が使われることがありますが、足首を強く鍛えるだけで改善するとは限りません。原因への対応と、歩行の安全を保つ支援を組み合わせます。
短下肢装具などは足首や足先の位置を支え、歩行時のつま先の引っかかりを減らす目的で用いられます。靴との組み合わせ、装着する時間、歩行補助具の必要性は個別に評価します。自己判断で装具の角度や固定の強さを変えないようにします。
生活環境では、めくれた敷物や床のコードを取り除き、通路を明るくします。段差や方向転換で足が引っかからないか確認し、本人に合った歩行速度と介助方法を共有します。慣れた場所でも疲労によって足の上がり方が変わることがあります。
膝の外側への圧迫が原因の場合は、姿勢や固定具の当たりの見直しが重要です。新たに生じた症状は放置せず、いつから、どちら側に、どの動作で起こるかを医療職に伝えます。
現場で知っておきたいポイント
歩行の安全を確保しながら、足先の引っかかりと症状の変化を観察します。本人の普段の歩き方との違いを確認しましょう。
- 左右の足の上がり方と、段差でのつまずきを確認する。
- 装具や靴が正しく装着され、皮膚を圧迫していないか見る。
- 床の障害物を除き、通路と足元の照明を確保する。
- 膝の外側へ長時間圧がかかる姿勢や固定具の当たりを確認する。
- しびれ、痛み、発症時期、歩行の変化を記録して報告する。
歩行補助具や介助量は理学療法士などと相談します。疲れてつま先が上がりにくくなる場合には、無理に歩き続けず休憩を取り、安全な移動方法へ切り替えます。装具の着脱や皮膚観察の方法も職員間で揃えます。
突然の足の脱力に、顔や腕の麻痺、言葉の出にくさなどを伴う場合は、脳卒中の可能性を考えて緊急対応につなげます。
参考情報・参考文献
日本整形外科学会「腓骨神経麻痺」
足首・足指の背屈障害と下垂足、膝外側の圧迫や鑑別評価を確認。
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/peroneal_nerve_palsy.html
参照日:2026年10月8日
英国国民保健サービス NHS「Foot drop」
原因、歩行・転倒への影響、装具や生活環境の工夫を確認。
https://www.nhs.uk/conditions/foot-drop/
参照日:2026年10月8日
英国国民保健サービス NHS「Symptoms of a stroke」
急な片側の脱力、顔・腕・言葉の異常と緊急対応の必要性を確認。
https://www.nhs.uk/conditions/stroke/symptoms/
参照日:2026年10月8日
