酸素療法
ひとことでいうと
酸素療法
酸素療法は、酸素を補給して低酸素血症を改善し、必要な酸素が身体へ届くよう支える治療です。肺や心臓の病気などに伴う酸素化の低下に対して行われます。息苦しさの原因はさまざまなため、息が苦しい人すべてに同じように酸素を使うわけではありません。
主な投与方法には、鼻の入り口へ装着する鼻カニューレや、鼻と口を覆う酸素マスクがあります。必要な酸素量や呼吸状態に応じて医療者が機器を選びます。在宅では酸素濃縮器や携帯用ボンベなどから酸素を供給し、生活に合わせて使用します。在宅酸素療法はHOTとも呼ばれます。
酸素の流量、使用時間、目標値は個別に決められます。安静時、歩行時、睡眠時で指示が異なる場合もあり、介助者が息苦しさやSpO₂だけを見て独自に増減することは避けます。酸素を多くすれば必ず安全というものではありません。
酸素を補うことと、呼吸運動を助ける換気補助は別の役割です。二酸化炭素が蓄積する状態などでは別の治療が必要になることもあります。酸素療法中も原疾患への治療と観察を続け、呼吸、意識、SpO₂、装着部の皮膚や機器の状態を確認します。
酸素を使いながら安全に生活するための準備
介助前に、安静・活動・睡眠それぞれの処方流量、使用機器、連絡が必要な症状を確認します。処方が不明なときは自己判断で設定せず、看護師や主治医へ問い合わせます。マスクなどは種類に応じた使い方があるため、別の器具へ勝手に交換しません。
移動時はチューブの長さや引っ掛かり、折れ曲がり、外れを確認します。携帯用酸素では残量と使用予定時間を確認し、外出先でも不足しない準備が必要です。入浴や排泄のたびに独自の判断で酸素を外さないよう、生活動作に合わせた方法を医療職と決めておきます。
酸素は燃焼を助けるため、酸素使用中の喫煙は厳禁です。厚生労働省は酸素濃縮装置などの周囲2m以内に火気を置かないよう注意喚起しています。ストーブ、調理の火なども含め、家族と訪問職員で住環境を確認します。
停電や機器の警報に備え、予備の酸素、供給業者の連絡先、医療機関への連絡方法を共有します。SpO₂が目標内でも眠気や反応低下、呼吸の悪化があれば相談し、数値だけで安全と判断しないことが大切です。
現場で知っておきたいポイント
酸素療法は日常生活を支える治療ですが、処方の取り違えや機器トラブル、火気による事故を防ぐ観察が欠かせません。
- 処方の確認:流量、使用時間、目標SpO₂、安静時と活動時の違いを確認します。変更は医師の指示や施設の手順に従い、介助者の判断で増減しません。
- 呼吸と反応:呼吸数、努力呼吸、会話、胸痛、眠気、意識を観察します。酸素を使っていても状態が悪くなることがあるため、急な変化はすぐ報告します。
- 機器と接続:鼻カニューレやマスクの位置、チューブの折れや外れ、警報、ボンベ残量を確認します。供給不良が疑われるときは決められた手順で応援を求めます。
- 皮膚と動線:耳や鼻の圧迫、乾燥、不快感を確認します。チューブで転倒しない配置を整え、移動や入浴の方法は看護師・リハビリ職と相談します。
- 火気と災害:喫煙を避け、装置周囲2m以内に火気を置きません。停電時の予備酸素、業者と医療機関の連絡先を家族と確認しておきます。
記録には機器、流量、測定値、活動、症状と対応を残します。強い呼吸困難や反応低下がある場合は、流量を独自に操作して様子を見るより、速やかな医療・救急への連絡を優先します。
参考情報・参考文献
Q29. 在宅酸素療法が必要と言われました。
発行機関:一般社団法人日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q29.html
参照日:2026-10-19
在宅酸素療法における火気の取扱いについて
発行機関:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003m15_1.html
参照日:2026-10-19
呼吸不全 — MSDマニュアル家庭版
発行機関:MSDマニュアル/Merck & Co., Inc.
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/07-%E8%82%BA%E3%81%A8%E6%B0%97%E9%81%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E5%91%BC%E5%90%B8%E4%B8%8D%E5%85%A8%E3%81%A8%E6%80%A5%E6%80%A7%E5%91%BC%E5%90%B8%E7%AA%AE%E8%BF%AB%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4/%E5%91%BC%E5%90%B8%E4%B8%8D%E5%85%A8?autoredirectid=38056
参照日:2026-10-19
Q28. パルスオキシメーターとはどのようなものですか?
発行機関:一般社団法人日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q28.html
参照日:2026-10-19
