上腕骨近位端骨折
ひとことでいうと
上腕骨近位端骨折
上腕骨近位端骨折は、肩から肘へ伸びる上腕骨のうち、肩関節に近い部分の骨折です。関節を構成する上腕骨頭や、その周りで腱が付く部分などが傷つきます。同じ上腕骨骨折でも、中央部や肘に近い骨折とは部位と生活への影響が異なります。
若い人では交通事故などの大きな力で生じることがありますが、高齢者では転倒などの軽い外力でも起こります。骨粗鬆症を背景にすることがあり、骨の健康や再転倒への対応も重要です。骨片のずれ、関節の脱臼、神経や血管の損傷が重なるかによって状態は異なります。
肩の痛みや腫れ、腕を動かしにくい症状が出て、更衣、洗髪、食事の準備などに影響します。起き上がりや移乗で腕に体重をかけることも難しくなります。手が使えることと肩が安全なことは別であり、痛みが軽くても負担をかけてよいとは限りません。
診断ではX線を用い、必要に応じてCTで骨片の状態を評価します。治療は固定などの保存療法、プレート等で骨を支える手術、人工関節・人工骨頭を用いる手術などから選びます。肩は硬くなりやすいため、骨折の安定性と指示を確認し、適切な時期にリハビリを進めます。
肩を保護しながら生活動作を支える
肩に近い骨折では、三角巾や装具で腕を支える場合があります。装具は痛みを減らすためだけでなく、骨折した部分を保護する目的もあります。装具を外してよい場面や、入浴・着替えの方法を確認し、介助者の都合だけで外したり、腕を引き上げたりしないことが大切です。
固定中でも、医療職の指示で手指を動かすなどの対応を行う場合があります。ただし、指が動くから肩も自由に動かせる、重い物を持てるという意味ではありません。肩の運動、肘・手指の運動、腕で体重を支える動作は負担が異なるため、それぞれの許可を具体的に共有します。
歩行器や杖を使う人は、骨折した腕に体重をかけて移動できるかも確認が必要です。移乗で患側の腕を支点にしないようにし、別の支え方や介助人数、福祉用具を相談します。寝る姿勢や服の形を調整し、本人ができる動作を生かして支援します。動かさない期間が長くなりすぎないよう、運動の開始は医療職の計画に合わせます。
現場で知っておきたいポイント
肩を保護し、腕を使う生活動作の変化を確認します。
- 転倒の状況、肩の痛み、腫れ、あざの広がりを記録する。
- 手指のしびれ、動かしにくさ、色や冷たさの変化を共有する。
- 装具の位置、皮膚の圧迫、着替え・入浴時の取り扱いを確認する。
- 骨折した腕を引いて起こさないようにし、移乗方法を相談する。
- 杖・歩行器への荷重、肩や手指の運動範囲を医療職に確認する。
本人の利き手と生活上の困りごとを把握し、食事や更衣の支援を調整します。骨粗鬆症の評価や再転倒予防も医療職と相談します。
手指の冷たさや色の変化、急な強いしびれ・痛みは直ちに医療職へ連絡します。受傷直後は無理に動かさず受診につなげます。
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参考情報・参考文献
日本整形外傷学会「上腕骨近位端骨折」
骨折部位、高齢者の受傷背景、合併損傷と固定・手術・リハビリを確認。
https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip14.html
参照日:2026年10月7日
