大腿骨近位部骨折
ひとことでいうと
大腿骨近位部骨折
大腿骨近位部骨折は、股関節に近い大腿骨の頸部や転子部などに生じる骨折です。高齢者では骨粗鬆症を背景に、立った高さからの転倒でも発生します。 大腿骨近位部骨折を正しく理解することは、早期発見と安全な支援につながります。
転倒が代表的な原因ですが、筋力低下、バランス低下、視力低下、薬剤、住環境など複数の要因が重なります。
強い股関節痛や立位・歩行困難を生じ、手術とリハビリが必要になることが多い骨折です。活動低下が続くと廃用症候群、肺炎、深部静脈血栓症、認知機能低下につながるため、医学的指示のもとで早期離床を進めます。
介護職は診断や治療を独自に決めるのではなく、日常生活の変化を継続して観察し、本人・家族・医療職と共有します。急な悪化や普段と異なる症状があるときは、予定の受診を待たず相談することが重要です。
高齢者では、複数の病気や薬の影響が重なり、大腿骨近位部骨折の典型的な症状がはっきり現れないことがあります。食事量、睡眠、排泄、移動、会話、表情など、日常生活の小さな変化を継続して見ることで早期発見につながります。本人が症状をうまく説明できない場合は、家族が気づいた変化や以前との違いも重要な情報です。
支援では安全を優先しながらも、本人が行える動作まで奪わないようにします。体調に応じて休憩、動線、福祉用具、介助量を調整し、できることを生かしながら負担を減らす視点が必要です。医療職からの指示は介護記録や申し送りで共有し、症状の経過や生活への影響を次の受診やケアプランの見直しに生かします。
手術後・退院後の生活で注意すること
退院後は骨が治ることだけでなく、再転倒と反対側の骨折を防ぐ視点が必要です。歩行器や杖の使い方、ベッドや椅子の高さ、トイレまでの動線を確認し、本人が安全に繰り返せる方法へ整えることが重要です。手術方法や医師の指示によって荷重や股関節の動かし方に注意が必要な場合があります。痛みを我慢させたり、逆に必要以上に安静にしたりせず、リハビリ職と動作方法を共有します。食事量低下や体重減少は回復を妨げるため、栄養状態と活動量を一緒に確認します。
本人への声かけでは不安をあおらず、今困っていることを一つずつ確認します。介助方法や生活環境を変更した後は、症状だけでなく疲労や活動量も見直します。変化を時系列で記録し、多職種で同じ情報を共有することで、過不足のない支援や受診判断につながります。
現場で知っておきたいポイント
現場では数値や病名だけでなく、本人の普段の状態との違いを確認します。
- 痛み、腫れ、創部、発熱の変化を確認する
- 荷重制限や禁忌肢位など退院時の指示を共有する
- 歩行補助具と履物、生活動線を整える
- できる動作は見守り、過介助で活動を奪わない
- 急な息切れ、片脚の腫れ、胸痛があれば速やかに相談する
観察結果は「いつから・どの場面で・どの程度」を具体的に伝えます。介護職だけで医学的判断を完結させず、必要に応じて看護師や主治医、リハビリ職へつなぐことが安全な支援につながります。
申し送りでは「異常あり」だけでなく、測定値、本人の訴え、発生した場面、持続時間、対応後の変化を伝えます。家族にも観察点と連絡の目安を分かりやすく共有し、支援者ごとに対応が変わらないようにすることが大切です。
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参考情報・参考文献
厚生労働省「二次性骨折の管理について」
大腿骨近位部骨折の発生と再骨折予防の重要性を確認。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000868120.pdf
参照日:2026年9月29日
日本骨粗鬆症学会「二次性骨折予防継続管理料」
骨折後の骨粗鬆症評価と再骨折予防を確認。
https://www.josteo.com/medical/secondary/
参照日:2026年9月29日
