看取り
ひとことでいうと
看取り
看取りは、人生の最終段階にある人が、その人らしさと尊厳を保ちながら最期まで過ごせるよう支えることです。治癒を目指す治療だけを中心にするのではなく、痛みや息苦しさ、不安などの苦痛を和らげ、食事、排泄、清潔、睡眠、家族との時間といった生活全体を整えます。看取りは「何もしないこと」ではなく、本人が大切にしてきたことを守る積極的なケアです。
実施場所は自宅、介護施設、病院などさまざまです。どこでどのような医療・ケアを受けたいかは、本人の価値観、病状、家族の状況、利用できるサービスによって異なります。本人の意思は体調や時間の経過で変わることがあるため、一度決めた内容を固定せず、繰り返し確認します。意思を伝えにくい場合は、これまでの発言や生活歴を手掛かりに、多職種と家族で最善を検討します。
介護職は日常に最も近い立場から、食事・水分量、意識、呼吸、痛み、排泄、睡眠、表情、本人の言葉などを観察します。状態変化を看護職や医師へ共有し、指示されたケアを行います。食べられない人へ無理に勧める、苦痛が強いのに体位や清潔ケアを優先するといった対応は避け、本人の負担と希望を基準に方法を調整します。
家族は悲しみ、不安、迷い、罪悪感を抱くことがあります。ケアチームは状態と見通しを分かりやすく共有し、家族ができる関わりを一緒に考えます。急変時の連絡先、救急搬送や蘇生に関する方針を事前に確認しておくことも重要です。介護職だけで医学的判断を行わず、計画と連絡体制に沿って行動します。
本人の希望を軸に家族と多職種で支える
人生の最終段階では、食事や水分量が自然に減り、眠る時間が増えることがあります。これは状態の進行でみられる変化の一つですが、苦痛、感染、口腔内の乾燥、便秘など改善できる要因がないかも確認します。「食べさせなければ」と無理に勧めることが負担になる場合もあるため、本人の希望と医療職の判断を踏まえます。
家族には、そばに座る、手を握る、好きな音楽を流す、口腔を潤すなど、できる関わりを具体的に伝えると安心につながります。家族が休息を取ることも支援の一部です。状態変化を伝える際は断定的な予測を避け、分かっていることと不確かなことを分けて説明します。本人と家族の揺れる気持ちを否定しない姿勢が大切です。
現場で知っておきたいポイント
看取り期は、本人の安楽と希望を最優先に、チームで同じ方針を共有します。
- 表情、呼吸、痛み、意識、食事・水分、排泄を継続して観察する
- 体位変換や清潔ケアは負担と安楽のバランスを見て行う
- 口腔内を清潔・湿潤に保ち、無理な飲食を避ける
- 本人の言葉や選好を記録し、家族・多職種へ共有する
- 急変時の連絡順、搬送・蘇生方針、夜間体制を確認する
呼吸や意識の変化に直面したら、一人で判断せず看護職・医師へ連絡し、本人を一人にしないようにします。家族にも今できることを具体的に伝えると、後悔や不安の軽減につながります。死後のケアや家族への支援も、事業所の手順と本人の文化・希望に沿って行います。
参考情報・参考文献
厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」
本人の意思決定、多職種での検討、医療・ケア方針の決定プロセスを確認。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197721.pdf
参照日:2026年9月28日
厚生労働省「どんな医療やケアを望みますか|人生会議ポータルサイト」
本人が大切にしたいことと望む医療・ケアを話し合う意義を確認。
https://www.mhlw.go.jp/acp-jinseikaigi/
参照日:2026年9月28日
