ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
ひとことでいうと
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
ACPはAdvance Care Planningの略で、将来の医療やケアについて、本人を中心に家族や大切な人、医療・ケアチームが繰り返し話し合うプロセスです。厚生労働省は「人生会議」という愛称で普及を進めています。病気が進行して意思を伝えにくくなる場合に備え、どこで過ごしたいか、何を大切にしたいか、どのような治療やケアを望むかを考えます。
ACPは、延命治療を受けるかどうかを一度だけ決める作業ではありません。本人の生活歴、価値観、希望、心配事を共有し、病状や生活状況の変化に応じて見直します。話したくない、今は決められないという意思も尊重されます。家族や専門職の考えを本人へ押し付けるものでもありません。
介護職は、日常会話の中で本人が語る「家で過ごしたい」「家族に迷惑をかけたくない」「食べる楽しみを残したい」といった言葉を丁寧に受け止めます。それを独自に結論へ変えるのではなく、記録してケアマネジャー、看護職、医師などへ共有します。本人が理解しやすい情報提供と、質問できる時間を確保することが重要です。
認知症などで意思表明が難しくなった場合も、本人を話し合いから外すのではなく、表情、選択、生活歴、過去の発言から意思を推定し、可能な方法で参加を支えます。本人の意思は変わり得るため、記録と定期的な再確認が必要です。緊急時の方針や代理で考える人も含め、多職種で共有しておくと、本人の価値観に沿った支援につながります。
一度の書類作成ではなく、繰り返す対話
ACPを始める時期に厳密な決まりはありません。元気なうちの日常会話、介護サービス開始時、入退院時、病状変化、要介護度の変化などがきっかけになります。いきなり最期の話を迫るのではなく、「今の暮らしで大切なことは何ですか」と尋ねるところから始めます。治療の選択より先に価値観を知ることが大切です。
話し合った内容は、誰といつ話したか、本人が何を大切にしているか、決めていないことも含めて記録します。書類があっても、現在の意思と一致するかを確認します。家族間で意見が異なる場合は、介護職が調整を一人で背負わず、多職種の話し合いにつなげます。本人不在で結論を急がないことがACPの基本です。
現場で知っておきたいポイント
日常の言葉を意思決定支援へつなげ、本人が安心して話せる関係をつくります。
- 「何を大切に暮らしたいか」を開かれた質問で尋ねる
- 話したくない様子があれば無理に続けず、機会を改める
- 本人の言葉を意味を変えず具体的に記録する
- 病状や選択肢の説明は医師・看護職など適切な専門職につなぐ
- 状態変化や入退院時に希望が変わっていないか確認する
本人と家族の意見が違っても、どちらかを責めず背景を聞きます。迷いがあること自体は自然です。ACPは合意を急ぐ会議ではなく対話を続ける過程であると共有し、ケアマネジャーや医療・ケアチームへつなぎます。緊急時に必要な情報は、連絡先とともに誰でも確認できる形で管理します。
参考情報・参考文献
厚生労働省「どんな医療やケアを望みますか|人生会議ポータルサイト」
ACPの目的、本人が大切にしたいことを家族・医療ケアチームと話し合う意義を確認。
https://www.mhlw.go.jp/acp-jinseikaigi/
参照日:2026年9月28日
日本医師会「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)/人生会議」
ACPの定義、本人主体の意思決定支援と繰り返す話し合いの考え方を確認。
https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/006612.html
参照日:2026年9月28日
