徐呼吸
ひとことでいうと
徐呼吸
徐呼吸は、安静時の呼吸回数が一般的な範囲より少ない状態を指します。成人では毎分12〜20回程度がよく用いられる目安ですが、年齢、睡眠、体力、薬剤の影響で呼吸数は変わります。回数が少ないという事実と、換気が不足しているかどうかは別の問題です。呼吸数だけを見て重症度を決めないことが大切です。
呼吸は脳幹にある呼吸中枢などによって調整されます。睡眠中や深い安静時には回数が減ることがあります。一方、鎮静薬やオピオイドなどの薬剤、神経系の異常、低体温などによって呼吸が抑制される場合もあります。急に回数が減った場合には、原因の確認が必要です。
呼吸数が少なくても一回の呼吸が深ければ換気量が保たれることがあります。反対に、浅い呼吸を伴えば二酸化炭素の排出が不足する可能性があります。SpO₂だけでは二酸化炭素の蓄積を直接評価できません。酸素投与中は特に、酸素飽和度の値だけに安心しないよう注意します。
普段より強い眠気、呼びかけへの反応低下、いびき様の異常な呼吸、皮膚色の変化を伴う場合は緊急性を考慮します。反応がなく正常な呼吸が確認できない場合は、救急要請と心肺蘇生の手順に従います。
呼吸数が減るときの見方
徐呼吸を観察するときは、静かな環境で胸や腹の上下動を見て、できるだけ1分間数えます。途中で大きく息を吸ったり、一時的に呼吸が止まったりする場合は、回数だけでなくリズムも記録します。呼吸の深さと意識状態を一緒に確認することが重要です。
普段どおり会話できるか、呼びかけに反応するか、息が浅くなっていないかを見ます。睡眠中の低い呼吸数と、日中に急に現れた呼吸数低下では意味が異なります。
薬剤が原因となる場合もあるため、鎮痛薬、睡眠薬、鎮静薬の使用状況や服薬時刻を確認します。ただし、介助者が自己判断で薬を中止したり、酸素流量を変えたりしないでください。急な意識低下や正常でない呼吸は、単なる徐呼吸として経過観察しません。施設の緊急手順に沿って医療職や救急へ連絡します。
呼吸数を数える際は、本人に意識させると呼吸の仕方が変わる場合があります。安静にしているときの自然な胸腹部の動きを観察し、体位、酸素投与の有無、測定した時刻も記録します。呼吸が不規則なら、単純に15秒の値を4倍するより1分間の観察が役立ちます。
現場で知っておきたいポイント
徐呼吸について現場で観察するときは、本人の普段の状態と比較し、変化が始まった時刻を確認します。以下の5点を意識すると、記録や連携に役立ちます。
- 呼吸数とリズム:安静時の胸腹部の上下動を1分間数えます。途中で長い間隔がないかも確認し、眠っているときか起きているときかを記録します。
- 呼吸の深さ:胸が十分に動いているか、浅く弱い呼吸になっていないかを見ます。数だけでなく、息の入り方と呼吸のリズムが重要です。
- 意識の変化:名前を呼んだときの開眼や返答を確認します。普段より強い眠気や反応の鈍さがあれば、単なる安静時の変化と判断しません。
- 薬剤と時間:睡眠薬、鎮痛薬、鎮静薬の使用時刻を確認します。薬の中止や量の変更は自己判断で行わず、処方医や看護師に伝えます。
- 緊急性の判断:反応がなく正常な呼吸がない場合は119番通報と心肺蘇生の手順に従います。測定を繰り返すために連絡を遅らせません。
異常が続く場合は、確認した時刻、数値、症状、対応後の変化を記録して医療職へ伝えます。緊急性が高い場合は、詳しい記録よりも救急対応を優先してください。
参考情報・参考文献
MSDマニュアル プロフェッショナル版「換気不全」
用語の定義、関連する病態と観察上の注意を確認。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/21-救命医療/呼吸不全および機械的人工換気/換気不全
参照日:2026年10月25日
MSDマニュアル プロフェッショナル版「呼吸停止の概要」
用語の定義、関連する病態と観察上の注意を確認。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/21-救命医療/呼吸停止/呼吸停止の概要
参照日:2026年10月25日
日本呼吸器学会「Q13. 呼吸が速くなります。過換気だと言われました。」
用語の定義、関連する病態と観察上の注意を確認。
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q13.html
参照日:2026年10月25日
