呼吸困難

(こきゅうこんなん)とは?
Dyspnea
(ディスプニア)
別名・関連する表現:息苦しさ、呼吸苦、息が苦しい、息が吸いにくい

ひとことでいうと

息をすることがつらい、空気が足りないと感じるなど、呼吸に苦しさを自覚する症状です。

呼吸困難

(こきゅうこんなん)の意味

呼吸困難は、本人が「息が苦しい」「空気が足りない」「胸が締めつけられる」などと感じる主観的な症状です。呼吸数や酸素飽和度が正常に近くても強い苦しさを訴えることがあり、反対に数値が悪化していても訴えが乏しい人もいます。そのため、本人の訴えと客観的な変化を両方みることが重要です。

原因は、肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、心不全、肺血栓塞栓症などの心肺疾患に加え、貧血、発熱、不安、痛みなど多岐にわたります。急に起きる呼吸困難と、徐々に進む呼吸困難では緊急度や考える原因が異なります。高齢者では複数の病気が重なり、典型的な訴えが出ないこともあります。

観察では、呼吸数、呼吸の深さ、喘鳴、痰、顔色、発熱、胸痛、意識状態、酸素飽和度などを確認します。横になると苦しく座ると楽になる、会話が途中で途切れる、肩で息をする、唇が紫色になるといった所見は状態把握に役立ちます。突然の強い息苦しさ、胸痛、意識の変化がある場合は緊急性を考えます。

介護では、まず活動を中止して楽な姿勢を整え、衣服をゆるめ、落ち着いて短い言葉で声をかけます。酸素投与や吸入薬は医師の指示どおりに扱い、自己判断で流量や回数を変えません。食事や入浴、排泄など負担の大きい動作は状態に合わせて方法を調整します。

「息切れ」は活動時などに呼吸が速く苦しくなる表現として使われますが、呼吸困難は安静時を含む幅広い苦しさを指します。普段との差、発症時刻、きっかけ、姿勢による変化を記録し、医療職へ具体的に伝えることが大切です。

生活場面で見逃したくない変化

高齢者の呼吸困難は、はっきり「苦しい」と言わず、歩く速度が落ちる、食事中に休む、会話が短くなる、夜に上体を起こして眠るといった変化として現れることがあります。認知症や失語がある人では、表情、落ち着きのなさ、呼吸音など非言語的なサインも確認します。

観察するときは、安静時と活動時の違い、症状が始まった時刻、咳や痰、むくみ、体重増加、発熱の有無を整理します。入浴や排泄で悪化する場合は、動作を分けて休憩を入れ、ベッドや椅子の高さ、移動距離も見直します。

休んでも改善しない、急に悪化した、唇が紫色、返答が鈍い、強い胸痛を伴う場合は、通常の受診予定を待たず緊急対応を検討します。普段使用している吸入薬や在宅酸素の指示、緊急連絡先を事前に共有しておくと対応しやすくなります。

現場で知っておきたいポイント

呼吸困難があるときは、原因を決めつける前に負担を減らし、普段との違いを短時間で確認します。

  • 動作を止め、本人が呼吸しやすい座位や前かがみの姿勢を整える
  • 呼吸数、酸素飽和度、脈拍、顔色、意識、胸痛を確認する
  • 咳、痰、発熱、むくみ、体重増加など関連する変化を記録する
  • 処方された酸素や吸入薬は指示どおりに使用し、自己判断で変更しない
  • 食事や入浴を無理に続けず、回復後も活動量を段階的に戻す

本人を一人にせず、いつから・何をしていて・どの程度苦しいかを確認します。不安で呼吸が速くなることもありますが、最初から心理的な原因と決めつけないことが重要です。

会話困難、急な胸痛、意識低下、著しいチアノーゼなどがあれば、速やかに救急要請を含む対応を検討します。既往歴や薬、在宅酸素の設定値を救急隊や医療職へ伝えます。

関連する用語

参考情報・参考文献

日本呼吸器学会「突然、呼吸が苦しくなりました」
突然の呼吸困難で考える原因と、緊急性の判断について確認。
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q11.html
参照日:2026年9月29日

日本呼吸器学会「最近、階段を昇ると息切れがします」
労作時の息切れと呼吸器・循環器疾患との関係を確認。
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q10.html
参照日:2026年9月29日

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