膝関節拘縮
ひとことでいうと
膝関節拘縮
膝関節拘縮とは、膝の周囲の筋肉、腱、関節包、皮膚などが変化し、膝の曲げ伸ばしが制限された状態です。自分で動かせないだけでなく、他の人がゆっくり動かしても動く範囲が狭くなることが特徴です。膝関節は医学的には「しつかんせつ」と読みます。
長い固定や臥床、外傷や手術後の癒着、麻痺などで動かす機会が減ることが関係します。関節の病気に伴う痛みや炎症を背景に、硬さが残る場合もあります。ただし、急な腫れや痛みで動かせない状態や、骨の問題による制限を一律に拘縮とは判断しません。
膝が曲がった位置から十分に伸びない屈曲拘縮と、伸びた位置から十分に曲がらない伸展拘縮があります。前者は体を支える立位や歩行に、後者は椅子に座ることや足を引いて立ち上がる動作などに影響します。制限の程度と生活上の困難は人によって異なります。
評価では、どの方向が制限されているか、痛み、筋力、他の関節や姿勢との関係を確認します。変形性膝関節症は背景になり得る病気で、膝関節拘縮とは同じ意味ではありません。運動や装具などの方針は専門職が個別に判断し、介助では無理に正常な角度へ合わせないようにします。
屈曲拘縮と伸展拘縮を動作に結びつける
屈曲拘縮は「曲げる動きが悪い」という意味ではなく、曲がった位置が残って十分に伸ばせない状態を指します。伸展拘縮では伸びた位置が残り、曲げることが難しくなります。言葉の印象だけで理解せず、どの位置からどの方向へ動かせないかを具体的に共有します。
膝を伸ばせない方に立位を求めると、股関節や体幹の姿勢で補い、疲労や不安定さが増える場合があります。反対に膝を曲げにくい方では、座る前に足を適切な位置へ置けず、着座が急になることがあります。可動域の数値だけでなく、動作全体と本人の困りごとを評価します。
椅子やベッドの高さ、足台、歩行補助具は、膝の動きに合わせて調整します。クッションの位置も個別に相談し、同じ姿勢を長く続ける負担を減らします。手術後や骨折後は治癒の段階で許される運動が異なるため、他の方の訓練をそのまま当てはめません。安全な運動と生活での介助を分けて確認しましょう。
現場で知っておきたいポイント
膝の見た目だけでなく、立位・歩行・着座の変化を観察し、無理のない動作を支えます。
- 伸ばしにくいか曲げにくいか、左右差と痛みを記録する。
- 椅子からの立ち上がりと着座で、足の位置や介助量を確認する。
- 膝を押し込んだり、反動をつけて曲げ伸ばししたりしない。
- 座面、足台、クッションや装具の位置を専門職と調整する。
- 骨折・手術後の荷重と運動の指示を確認して引き継ぐ。
ご利用者様が痛みを伝えにくい場合は、表情や体のこわばりも手がかりにします。膝の角度だけを直そうとせず、股関節や足首も含めて安全な姿勢を相談します。以前より歩ける距離が短い、着座で急に腰が落ちるなどの変化は、具体的な場面とともに記録しましょう。
急な腫れや熱感、外傷後の強い痛み、体重をかけられない変化があれば、歩行・運動を中止して看護師・医師へ報告し、診察につなげます。
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参考情報・参考文献
北里大学北里研究所病院「人工膝関節置換術」
術後の拘縮予防と、理学療法士による個別の運動・歩行支援を確認。
https://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/visitor/section/soc/joint/contents01.html
参照日:2026年10月9日
大垣中央病院「膝の動きが固まる『関節拘縮』とは?皮膚・筋肉・関節包の癒着リスク」
膝の拘縮に関わる軟部組織、屈曲拘縮と動きの制限を確認。
https://oogaki.or.jp/knee-oa/symptoms/range-of-motion/knee-contracture-adhesion-risk/
参照日:2026年10月9日
上尾中央総合病院「変形性膝関節症:整形外科」
膝関節の専門的な読みと、背景となる関節疾患の概要を確認。
https://www.ach.or.jp/disease/osteoarthritis-of-the-knee/
参照日:2026年10月9日
