湿性ラ音

(しっせいらおん)とは?
Crackles
(クラックルズ)
別名・関連する表現:湿性ラ音、Crackles、しっせいらおん

ひとことでいうと

湿性ラ音は、肺の聴診で「パチパチ」「プツプツ」と聞こえる断続的な副雑音を指す従来の用語です。現在はcrackles(クラックルズ)など音の性質を表す名称が使われます。肺炎や肺うっ血などで聞こえることがありますが、音だけで原因疾患を決めることはできません。

湿性ラ音

(しっせいらおん)の意味

湿性ラ音は、肺の聴診で聞かれる断続的な副雑音を表す従来の呼び方です。「パチパチ」「プツプツ」といった短い音が繰り返され、現在はcrackles(クラックルズ、断続性ラ音)という表現が使われます。「湿性」という名称でも、必ずしも肺に液体がたまっていることを意味しません。

cracklesには、短く高い音のfine crackles(捻髪音)と、より長く低い音のcoarse crackles(水泡音)などがあります。音の性質だけでなく、吸気の前半か後半か、左右どちらで聞こえるか、咳をした後に変化するかも観察の手掛かりになります。

このような音は、無気肺、肺水腫、間質性肺疾患などで聞こえる場合があります。肺炎などでもみられますが、聴診所見だけで病名や重症度を確定することはできません。呼吸数、SpO₂、発熱、痰、呼吸困難の有無などと組み合わせて評価します。

介護職が聴診器を使用しない場面では、湿性ラ音の有無を無理に判定する必要はありません。息苦しさ、咳、痰の変化、呼吸数の増加、普段より動けないといった徴候を記録し、必要に応じて看護師や医師に相談します。

観察と対応のポイント

呼吸音を記録するときは、「湿性ラ音あり」だけでは情報が不足します。左右の部位、吸気・呼気の時相、音の粗さを具体的に表現すると、時間経過による変化を比較しやすくなります。可能であれば、同じ体位と条件で再評価します。

fine cracklesは比較的細かく高い音で、coarse cracklesは粗く低い音として表現されます。ただし、音の聞き分けには訓練が必要で、観察者による差もあります。聴診結果を記録する際は、確信が持てない場合に断定的な用語を使わない配慮も大切です。

咳の前後で音が変化する場合、気道内の分泌物の影響が考えられます。一方、咳をしても変化しない音もあります。音の変化だけで吸引や薬剤調整の必要性を判断しないことが重要で、症状や全身状態を含めて医療職に共有します。

高齢者では、発熱が目立たなくても肺炎などの呼吸器疾患が起こることがあります。食欲低下、活動性低下、意識の変化など、呼吸器以外の症状も確認し、普段との違いを具体的に伝えます。

現場で知っておきたいポイント

湿性ラ音の観察では、音や数値だけでなく、本人の苦痛と急な変化を確かめます。

  • 部位を具体的に残す:右下肺野、左背部など、どこで聞こえたかを記録します。左右差があるか、前回と比べて広がっているかも重要です。聴診を行わない職種は、呼吸状態の変化を共有します。
  • 音の性質を区別する:細かいパチパチ音か、粗いプツプツ音かを表現します。専門的な分類が難しい場合は、無理に診断名をつけず、聞こえた印象をそのまま伝えます。
  • 吸気のどこで聞こえるか:吸い始めか吸い終わりかを確認すると、呼吸音の特徴が伝わりやすくなります。測定時の体位や呼吸の深さも併記し、同じ条件で比較できるようにします。
  • 咳と痰の変化を確認する:咳の前後で音が変わるか、痰の量や色、出しやすさに変化がないかを確認します。痰が多いことだけで肺炎や肺水腫と決めつけないことが大切です。
  • 全身状態と合わせて報告:呼吸数、SpO₂、体温、息切れ、食欲や活動性の低下を併せて記録します。急な呼吸困難や意識の変化がある場合は、聴診の継続より速やかな連絡を優先します。

記録は「いつ・どの場面で・何が変わったか」を具体的に残します。急な悪化では施設の緊急手順に従い、救急対応を優先します。

関連する用語

参考情報・参考文献

MSDマニュアル プロフェッショナル版「肺症状を有する患者の評価」
用語の定義、関連する病態と観察上の注意を確認。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/05-肺疾患/肺症状を有する患者へのアプローチ/肺症状を有する患者の評価
参照日:2026年10月25日

MSDマニュアル プロフェッショナル版「呼吸困難」
用語の定義、関連する病態と観察上の注意を確認。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/05-肺疾患/肺疾患の症状/呼吸困難
参照日:2026年10月25日

MSDマニュアル プロフェッショナル版「心血管系の診察」
用語の定義、関連する病態と観察上の注意を確認。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/04-心血管疾患/心疾患を有する患者へのアプローチ/心血管系の診察
参照日:2026年10月25日

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