仙骨骨折
ひとことでいうと
仙骨骨折
仙骨骨折は、腰椎の下にあり、骨盤の後方を構成する仙骨に生じる骨折です。仙骨は背骨から骨盤へ体重を伝える位置にあり、脚や排尿・排便に関わる神経も近くを通ります。尾骨の骨折や、姿勢を表す仙骨座りとは異なる用語です。
交通事故や高所からの転落などの強い外力で起こる場合と、骨粗鬆症などで骨が弱くなり、転倒や日常動作の小さな負担で起こる場合があります。高齢者の脆弱性骨折では、けがのきっかけが明確でないこともあります。前方の恥骨などの骨折を伴う場合もあります。
腰、お尻、脚の付け根などの痛みが出て、座る、立つ、寝返り、歩く動作で強くなることがあります。腰の病気と似た症状になる場合があり、痛む場所だけでは区別できません。骨折の部位やずれによっては脚や排尿・排便の神経症状を伴うため、普段との違いを具体的に伝えます。
X線だけでは分かりにくい場合があり、CTやMRIなどで骨折と周囲の状態を評価します。治療は骨盤の安定性、神経への影響、全身状態などに応じて、保存療法や固定・除圧の手術を検討します。介護では荷重や移乗の指示を確認し、痛みへの対応と、許可された活動を支える工夫を医療職と共有します。
腰痛として見過ごされる場合がある
高齢者の仙骨の脆弱性骨折では、大きな転倒がなく、腰痛やお尻の痛みだけで始まる場合があります。脊柱管狭窄症や腰椎の骨折などと似た症状になることがあり、既往に腰の病気がある人でも、新しい痛みをいつもの腰痛と決めつけないことが重要です。
初めのX線で骨折がはっきりしない場合もあります。画像で異常を指摘されなかったとしても、痛みが続く、立ち上がれない、歩ける距離が急に減ったといった変化は医療職に伝えます。介助者が検査や病名を決めるのではなく、症状の経過と、以前できていた動作との違いを具体的に共有します。
仙骨付近には排尿・排便などに関わる神経があるため、脚のしびれや脱力に加えて、新しい排尿・排便の変化にも注意します。ただし、すべての仙骨骨折で神経障害が起こるわけではありません。骨盤全体の評価と本人への指示を確認し、痛む場所を強く押したり、無理な姿勢変更で動けるか試したりせず、安全な介助方法を相談します。
現場で知っておきたいポイント
腰やお尻の痛みを、生活動作と神経症状の変化と合わせて確認します。
- 痛みの場所、発症時期、転倒や小さな負担のきっかけを記録する。
- 座位、寝返り、立ち上がり、歩行での痛みと介助量を比較する。
- 脚の脱力や排尿の変化がないか、本人の訴えを共有する。
- 荷重・移乗の指示を確認し、痛む場所への強い圧迫を避ける。
- 臥床中の皮膚、食事、活動量を確認し、許可された離床を支える。
画像や既往の病名だけで新しい痛みを判断しません。腰の症状が続く場合も経過を伝え、骨粗鬆症と再転倒への対応を相談します。
急な脚の脱力や尿が出ない変化、受傷後の冷汗・意識の変化は直ちに医療職へ連絡し、緊急性に応じて救急対応を行います。
もっと詳しく|関連ブログ
参考情報・参考文献
武田総合病院「17.骨盤脆弱性骨折とは ~ 太ももの付け根の痛み-ひょっとして骨盤や仙骨の骨折かも~」
仙骨の脆弱性骨折、腰痛に似る症状、画像評価と治療を確認。
https://www.takedahp.or.jp/ijinkai/blog/2020/02/07/post-410/
参照日:2026年10月7日
帝京大学医学部附属病院外傷センター/日本外傷学会誌「骨盤輪損傷における仙骨骨折の治療戦略(29巻2号、2015年)」
仙骨の荷重伝達、神経障害、骨盤の安定性に応じた治療を確認。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjast/29/2/29_36/_pdf
参照日:2026年10月7日
