口すぼめ呼吸
ひとことでいうと
口すぼめ呼吸
口すぼめ呼吸は、鼻から自然に息を吸い、口を軽くすぼめてゆっくり吐く呼吸法です。COPDなどで息を吐きにくい人が、呼気の速さを整え、息切れを和らげるために用いることがあります。すべての人に同じ効果があるわけではなく、本人の楽さに合わせて指導します。
COPDでは呼気時に気道が狭くなり、肺の中の空気を十分に吐き出しにくい場合があります。口をすぼめて穏やかに吐くことで気道を支え、呼気に時間をかけやすくなります。空気を強く押し出すことが目的ではなく、首や肩の力を抜いて無理のない呼吸を保つことが大切です。
腹部の動きに注目する腹式呼吸とは、意識する点が異なります。また、呼吸回数を無理に減らしたり、苦しいのに長く息を吐き続けたりする方法ではありません。強く吹かず、息を止めないことを確認し、呼吸のタイミングや姿勢は医療職と相談します。
歩行、階段、更衣などで息切れしやすい人では、動作の前後に取り入れる場合があります。落ち着いているときに練習しておくと使いやすくなりますが、急な強い呼吸困難の原因を治療する方法ではありません。練習で苦しさやめまいが増す場合は中止し、普段と異なる呼吸状態では医療職へ連絡します。
無理なく練習し生活動作に生かす
練習は、足を床につけて座るなど、本人が楽に呼吸できる姿勢で始めます。首や肩に力が入りすぎていないかを見て、鼻から自然に吸い、ろうそくの炎を軽く揺らすようなイメージで口からゆっくり吐きます。
吐く時間を吸う時間より長くする説明が使われますが、秒数や比率を全員に強制しません。本人が楽に続けられる速さと深さを優先します。頬を強く膨らませたり、お腹に力を入れて一気に吹いたりする場合は、担当する医療職に方法を確認します。
日常動作に取り入れる際は、まず座位でできるかを確認し、歩行などと組み合わせる方法を相談します。息切れの程度、休憩の必要性、動作中の呼吸の様子を比較すると、本人に合う使い方を検討する材料になります。
呼吸法で受診や緊急対応を遅らせないことも重要です。胸痛、急な強い息切れ、反応低下などがあれば練習を続けず連絡します。酸素を使っている場合も自己判断で外したり流量を変えたりせず、処方された条件を守ってください。
現場で知っておきたいポイント
呼吸法は形をそろえることより、本人が楽に息を吐けるかを確かめながら支援することが大切です。
- 姿勢を整える:座位など楽な姿勢を選び、首や肩の力を抜けるよう声をかけます。COPDの人では腕を支えた姿勢が楽な場合もあるため、本人の感覚を確かめます。
- 穏やかに吐く:鼻から自然に吸い、口を軽くすぼめてゆっくり吐きます。強く吹き出したり息を止めたりせず、苦しくならない範囲で練習します。
- 時間を強制しない:吸う・吐く秒数を一律に指定せず、呼吸の負担を確認します。長く吐こうとして力む場合は休み、指導方法を理学療法士や看護師に相談します。
- 動作に合わせる:歩行や更衣などで使う場合は、息切れの程度と休憩を確認します。まず落ち着いた状態で練習し、動作中の取り入れ方は医療職と共有します。
- 悪化時は中断:めまい、疲労、苦しさの増加があれば中止します。急な胸痛や強い呼吸困難では呼吸法だけで様子を見ず、速やかに医療職へ連絡します。
実施した姿勢、本人の楽さ、息切れや休憩の変化を記録します。うまくできたかを評価するだけでなく、本人が生活場面で使いやすい方法になっているかを確認してください。
参考情報・参考文献
How to breathe when you are short of breath
MedlinePlus/米国国立医学図書館。鼻から吸って口をすぼめて吐く手順と、強制呼気・息止めを避ける注意。
https://www.medlineplus.gov/ency/patientinstructions/000053.htm
参照日:2026年10月27日
Leaflet 3: Breathing techniques to ease breathlessness
Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust。気道を支え呼気をゆっくりにする目的と、個人に適した方法。
https://www.cuh.nhs.uk/patient-information/breathing-techniques-to-ease-breathlessness/
参照日:2026年10月27日
Breathing techniques
Canadian Lung Association。活動時の息切れに対する使い方と、落ち着いた状態での練習。
https://www.lung.ca/breathing-techniques/
参照日:2026年10月27日
