股関節拘縮
ひとことでいうと
股関節拘縮
股関節拘縮は、骨盤と太ももの骨をつなぐ股関節で、筋肉や腱、関節包などの変化により動く範囲が制限された状態です。本人が動かしにくいだけでなく、他の人がゆっくり動かしても制限が残ることが特徴です。脚の形だけで診断することはできません。
長期臥床や固定、麻痺で脚を動かす機会が減ること、外傷や手術後の変化などが関係します。股関節の病気に伴う痛みで動かさない状態が続き、周囲の組織が硬くなる場合もあります。ただし、痛みや骨の変形による動きの制限がすべて拘縮というわけではありません。
脚を後ろへ伸ばせない屈曲拘縮、脚を外へ開きにくい内転方向の拘縮など、制限の方向はさまざまです。立位や歩行で体を伸ばしにくくなったり、座る姿勢が偏ったりするほか、陰部洗浄、おむつ交換、下衣の更衣が難しくなることがあります。
評価では可動域に加え、痛み、筋緊張、骨盤の姿勢、日常動作を確認します。拘縮のある脚を力任せに開かないことが重要で、骨が弱い方では介助中の骨折にも注意が必要です。治療や運動は原因と状態に応じて選び、理学療法士などと安全な支え方や姿勢を共有します。
脚を開く介助と骨盤の姿勢を考える
股関節が動きにくいと、骨盤を傾けたり腰を反らせたりして動作を補う場合があります。脚が伸びて見えても、股関節そのものが十分に伸びているとは限りません。骨盤と脚を一緒に観察し、どの姿勢で痛みや負担が増えるかを専門職へ伝えます。
陰部洗浄やおむつ交換では、脚を大きく左右へ開けばよいと考えず、体を横向きにする、複数人で支えるなど、本人に合う方法を相談します。骨粗鬆症や骨折の既往がある方では特に慎重に扱います。清潔保持のための動作でも、強い力を加えるとけがにつながる可能性があります。
椅子の座面や足台、クッションの配置は、拘縮の方向と座位の安定性に合わせて調整します。左右対称の形を無理に求めないことも大切です。人工股関節の手術後は、術式や経過によって避ける動作が異なります。拘縮への運動と手術後の制限を混同せず、最新の指示を確認してケアに反映します。
現場で知っておきたいポイント
股関節の動きと、排泄・移動・座位への影響を確認します。無理に脚を開かない介助をチームで共有しましょう。
- 脚を伸ばす、開く、回す動きで困る場面と痛みを記録する。
- 陰部洗浄やおむつ交換は、体位と支える人数を専門職と相談する。
- 骨粗鬆症、骨折歴、人工股関節手術後の指示を確認する。
- 座面、足台、クッションの当たりと皮膚の赤みを観察する。
- 強い牽引や反動を避け、本人の表情と抵抗の変化をみる。
ご利用者様が安全に座れる姿勢や、体位変換で負担が少ない方法を理学療法士・作業療法士へ相談します。清潔ケアを急いで行わず、動かせる範囲に合わせて手順を整えます。職員間では支える場所と順序を揃え、介助量が増えた時期や本人の訴えを引き継ぎます。
介助中や転倒後に急な強い痛み、腫れ、脚の変形が生じた場合は、動作を中止して看護師・医師へ速やかに報告します。
もっと詳しく|関連ブログ
参考情報・参考文献
米国国立医学図書館 MedlinePlus「Contracture deformity」
拘縮の定義、原因、可動域の制限と個別の治療を確認。
https://medlineplus.gov/ency/article/003185.htm
参照日:2026年10月9日
日本整形外傷学会「高齢者の大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折」
股関節の構造と読み、股・膝関節の拘縮がある方の介助中の骨折リスクを確認。
https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip25.html
参照日:2026年10月9日
