肩関節拘縮
ひとことでいうと
肩関節拘縮
肩関節拘縮とは、肩の筋肉、腱、関節包などの組織が変化し、肩を動かせる範囲が狭くなった状態です。自分で腕を動かしにくいだけでなく、他の人がゆっくり動かしても動きの制限がみられます。肩のこりや筋力の弱さだけを意味する言葉ではありません。
骨折や手術の後の固定、長く腕を使わない生活、脳卒中後の麻痺などが背景になります。肩関節周囲炎に伴う炎症や癒着でも生じますが、肩関節拘縮という状態の原因は五十肩だけではありません。痛みで一時的に動かせない場合とも区別が必要です。
腕を前や横に上げにくい、外側へ回しにくい、背中へ手を回せないなど、制限される方向は人によって異なります。更衣、洗髪、食事の準備、脇の洗浄などに支障が出ることがあり、反対の腕や体幹で補う動きもみられます。
評価では、自動運動と他動運動の違い、痛み、筋緊張、生活で困る動作を確認します。必要に応じて画像検査などで背景の病気を調べます。運動や治療は原因と時期に応じて選び、介助者が硬さを力で解消しようとせず、医師やリハビリ職の方針に沿って支援します。
五十肩との関係と生活動作の調整
肩関節周囲炎は肩の痛みや動きの制限に関わる病名で、拘縮は動く範囲が狭くなった状態を表します。五十肩で強い拘縮が起こることはありますが、肩の拘縮をすべて五十肩と扱わないことが大切です。外傷や手術後の経過、麻痺の有無も確認します。
腕を上げる際に肩をすくめたり体を傾けたりすると、手が届いていても肩自体の動きが十分とは限りません。可動域の角度だけでなく、衣服の袖を通す、脇を洗うなどの目的が安全に達成できるかをみます。痛みの少なさだけで介助のしやすさを判断しないようにします。
服のゆとりや前開きの形、道具を置く高さを調整すると、腕を大きく動かさずに生活を続けやすくなります。本人が行える動作を残す工夫を作業療法士などに相談します。反対に、長く動かさないことで制限が進む場合もあります。安静と運動の配分は本人への指示を確認し、痛みを我慢させるストレッチは避けます。
現場で知っておきたいポイント
肩の角度だけでなく、痛みと生活上の困りごとを把握し、動かせる範囲に合わせて介助します。
- どの方向に動かしにくいか、左右差と変化の時期を記録する。
- 更衣、洗髪、脇の洗浄で困る場面と必要な介助量を共有する。
- 腕を引っ張って起こしたり、反動をつけて肩を回したりしない。
- 服や道具の位置、腕を支えるクッションを専門職と調整する。
- 運動、固定、手術後の禁止動作について個別の指示を確認する。
本人が痛みを訴えにくい場合は表情や体のこわばりも観察します。介助の前に声をかけ、肩を無理に開かず、清潔ケアや衣服の交換を行える方法を相談します。職員間では安全に動かせる範囲と支え方を揃え、以前できていた動作の変化を引き継ぎます。
転倒後の強い痛み、急な腫れや変形、新しい脱力があれば、いつもの拘縮と決めつけず運動を中止して報告し、診察につなげます。
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参考情報・参考文献
米国国立医学図書館 MedlinePlus「Contracture deformity」
拘縮の定義、組織の変化、原因と医療職の指示に沿う対応を確認。
https://medlineplus.gov/ency/article/003185.htm
参照日:2026年10月9日
とちぎメディカルセンター 広報誌「その痛み、もしかして…~整形外科を受診すべき疾患について~」
肩関節拘縮の読み、拘縮肩と五十肩の関係、原因を確認する必要性を確認。
https://www.tochigi-medicalcenter.or.jp/magazine/data/202206.pdf
参照日:2026年10月9日
