大腿骨転子部骨折
ひとことでいうと
大腿骨転子部骨折
大腿骨転子部骨折は、太ももの骨の股関節に近い、出っ張りのある転子部で起こる骨折です。大腿骨近位部骨折の一つで、股関節を包む関節包の外側に位置します。骨頭のすぐ下の細い部分が折れる大腿骨頸部骨折とは、折れる場所と治療上の特徴が異なります。
骨粗鬆症で骨が弱くなった高齢者では、立った高さからの転倒などでも起こります。受傷後は股関節周囲や太ももの痛み、腫れがみられ、立つ・歩く動作が難しくなります。内出血が全身状態に影響することもあり、転倒後に体重をかけられない変化を早く共有します。
診断には診察やX線などの画像検査を用い、骨折の位置やずれ、折れ方を確認します。多くは髄内釘やプレートなどの金属を使い、骨を良い位置で固定する骨接合術を行います。治療は骨折の安定性や持病、全身状態などを踏まえて決めます。
術後は痛みや体調を確認しながら、座位、移乗、歩行などの回復を目指します。体重をかける量や時期は個別に確認し、介助者が一律に決めないようにします。長期の不活動を防ぐ支援とともに、骨粗鬆症治療の継続や転倒しにくい環境づくりなど、次の骨折を防ぐ対応も重要です。
頸部骨折との違いと固定後の生活
大腿骨頸部骨折は関節包の内側、転子部骨折は主に外側で起こります。転子部は周囲からの血流が比較的豊富で、頸部より骨がつながりやすい環境にあります。ただし、折れ方によっては固定が不安定になるため、つながりやすいことと負担を自由にかけられることは別と理解する必要があります。
転子部骨折では、折れた骨を金属で固定して骨癒合を目指す治療が一般的です。骨のずれや固定材料の問題などが生じる場合もあります。一方、頸部骨折では骨頭への血流や骨癒合の問題が関係し、人工骨頭などへの置換を選ぶことがあります。同じ股関節周囲の骨折でも、手術と注意事項を同じものとして扱わないことが大切です。
退院時には荷重と介助方法の具体的な指示を確認します。「歩行してよい」だけでなく、必要な歩行器、介助量、痛みが増えたときの連絡方法まで共有すると生活につなげやすくなります。急に痛みが増した場合は無理に練習を続けず相談します。受傷前の移動能力や本人の目標も伝え、医療職と生活環境を調整します。
現場で知っておきたいポイント
受傷直後の安全と、治療後の生活動作を分けて支援します。
- 転倒の時刻や状況、痛む場所、腫れなどの変化を伝える。
- 骨折が疑われるときは立たせて歩けるかを試さない。
- 術後の荷重、姿勢、移乗・歩行の指示を確認する。
- 動作時の痛み、できる動作、介助量の変化を記録する。
- 受診、骨粗鬆症治療、住環境と転倒予防を医療職と共有する。
荷重を自己判断で増やさないようにします。活動を過度に制限せず、指示の範囲で安全な離床を相談します。
転倒後の強い痛みや立てない状態、治療後の急な痛みの増加、強い息苦しさなどは速やかに連絡し、緊急手順に従います。
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参考情報・参考文献
日本整形外傷学会「高齢者の大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折」
転子部の位置、頸部との違い、骨接合術、リハビリと二次骨折予防を確認。
https://www.jsfr.jp/ippan/condition/ip25.html
参照日:2026年10月6日
福島県立医科大学 整形外科学講座「大腿骨近位部骨折」
転子部骨折の痛み・内出血と頸部骨折との病態の違いを確認。
https://ortho.fmu.ac.jp/treatment/760/
参照日:2026年10月6日
