尿閉
ひとことでいうと
尿閉
尿閉は、膀胱に尿がたまっているのに、自分の力で排尿できない、または十分に出し切れない状態です。尿を作れない「無尿」とは異なり、尿閉では膀胱内に尿が残っています。
原因には前立腺肥大症、尿道狭窄、骨盤臓器脱、便秘、薬の影響、脳卒中や脊髄疾患などによる神経障害があります。手術後や長時間の安静、強い痛みでも起こることがあります。
急性尿閉は突然尿が出なくなり、下腹部の強い張りや痛みを伴います。放置すると腎機能障害や感染につながるため、速やかな医療対応が必要です。慢性尿閉は少量ずつ排尿できるため気づきにくく、頻尿や尿漏れとして現れる場合があります。
高齢者や認知症のある人では、落ち着きのなさ、下腹部を触る、食欲低下、急な混乱など非典型的な変化もあります。排尿量だけでなく、最後に排尿した時刻、回数、下腹部の張りを確認します。
治療は原因に応じ、導尿やカテーテル留置、薬物治療、手術などが行われます。介護では無理に水分だけを増やして様子を見ず、尿が出ない状態と苦痛を早く共有することが重要です。
高齢者で気づきたいサイン
慢性尿閉では、何度もトイレへ行く、少量しか出ない、排尿後もすぐ尿意がある、下着が少しずつ濡れるなどがみられます。これは膀胱がいっぱいになって漏れる溢流性尿失禁の可能性があります。
排尿記録では、時刻・量・尿意・排尿時の様子を残します。新しい薬、便秘、発熱、下腹部の張りとの関係も確認します。トイレで急がせず、安心できる姿勢と環境を整えます。
数時間以上尿が出ず下腹部が強く張る、痛みや嘔気がある場合は、予定の受診を待たず医療へ連絡します。カテーテルがある人で尿流が急に止まった場合も同様です。
現場で知っておきたいポイント
尿閉が疑われるときは、排尿の経過と下腹部症状を確認します。
- 最後に排尿した時刻と量を確認する
- 下腹部の張り、痛み、落ち着きのなさを見る
- 少量頻回、残尿感、尿漏れの有無を記録する
- 便秘、新しい薬、手術後などの背景を確認する
- カテーテルの屈曲やバッグ位置を確認する
尿が出ない人へ水分だけを過剰に勧めて様子見しないことが重要です。導尿は資格と指示に基づいて行います。
強い下腹部痛、嘔気、意識変化、カテーテル閉塞が疑われる場合は、速やかに医療へ連絡します。
参考情報・参考文献
日本泌尿器科学会「尿が全く出ない(尿閉)」
尿閉の定義、原因、急性尿閉の対応を確認。
https://www.urol.or.jp/public/symptom/06.html
参照日:2026年9月29日
日本泌尿器科学会「尿が出にくい、尿の勢いが弱い」
排尿困難の原因と関連症状を確認。
https://www.urol.or.jp/public/symptom/05.html
参照日:2026年9月29日
