運動耐容能
ひとことでいうと
運動耐容能
運動耐容能とは、運動による負荷に対して、どの程度の運動を行えるかを表す能力です。運動の強さや持続時間、症状などから捉えます。日本の学会用語集ではExercise ToleranceとExercise Capacityの両方が対応語として使われ、英語だけで別の能力と決められるものではありません。
運動時には、呼吸で酸素を取り込み、心臓・血管が筋肉へ運び、筋肉が利用する働きが必要です。したがって心肺機能の影響を受けますが、骨格筋の状態、貧血、疾患や体調なども関わります。心臓の検査値や肺の機能だけを言い換えた用語ではありません。
評価には心肺運動負荷試験や6分間歩行試験などがあり、最高酸素摂取量、歩行距離、症状や循環・呼吸の反応を確認します。検査には適応と安全管理が必要です。一つの数値だけで日常の活動を安全と判断しないことが大切です。
持久力は運動を続ける力に注目する関連概念で、運動負荷は身体に加える運動の強さや量です。活動耐容能は更衣や入浴など生活場面の負担も捉えます。これらには重なる部分があり、資料や職種で使い分けも異なるため、何をどの条件で評価したかを明確にします。
評価の数値と日常生活の負担をつなげる
Exercise Capacityは試験で達成できた運動能力を示す場面でも用いられ、Exercise Toleranceは負荷に耐えて運動を続けられることを表す場面で使われます。ただし一対一の厳密な区別が共通化されているわけではありません。日本語では両者を運動耐容能とする学会用語集に沿い、数値や測定方法と一緒に理解します。
検査結果を比較するときには、使った試験、歩行補助具、酸素療法の条件、薬の影響、痛みや疲労などを確認します。歩く距離が短い場合も、呼吸循環の問題だけでなく、関節痛や歩行の難しさが影響していることがあります。異なる試験の結果を単純に換算することはできません。
支援では、検査室での能力をそのまま生活全体に当てはめず、本人が望む外出や家事での負担も聞き取ります。医療職の評価に基づく運動と、座って行う・動作を分けるなど生活上の調整を組み合わせます。測定値を上げることだけを目的に、症状を我慢させないことが重要です。
現場で知っておきたいポイント
運動耐容能の情報は、運動を増やす指示だけでなく、その人に合う負担と休息を考えるために使います。
- 条件を共有:病状、荷重制限、酸素療法、運動処方と中止基準を確認し、独自に負荷を変更しません。
- 訴えを聞く:開始前・活動中・終了後の息切れ、疲労、胸部の違和感を聞き、普段との違いを確かめます。
- 量を記録:活動の種類、時間や距離、介助量、休息回数、回復までの様子を具体的に記録します。
- 生活を調整:着替えを分ける、座って作業するなど、本人の目標を保ちながら負担を調整します。
- 専門職と評価:検査は適応と安全管理のもとで実施し、介護現場で限界まで歩かせる試し方は避けます。
急な胸痛、強い息苦しさ、失神しそうな感じがあれば中止し、施設や事業所の手順で速やかに医療職へ連絡します。改善や悪化は一日の印象だけで決めず、経過を共有してください。
参考情報・参考文献
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会「日本呼吸ケア・リハビリテーション学会用語集(2026年第8版)」
確認内容:運動耐容能にexercise toleranceとexercise capacityの両表記が対応することを確認。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrcr/35/3/35_291/_html/-char/ja
参照日:2026年10月16日
日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」
確認内容:身体活動能力の定義、心肺運動負荷試験・歩行試験、症状に応じた運動中止と個別の負荷調整を確認。
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Makita.pdf
参照日:2026年10月16日
「ICFの職業領域への適用の検索」日本語版ICF「運動耐容能(b455)」(UMIN掲載)
確認内容:運動耐容能と全身持久力・有酸素能力の関係、呼吸・心血管機能の区分との違いを確認。
https://plaza.umin.ac.jp/~haruna/icf_jpn/b_s/b455.htm
参照日:2026年10月16日
国立循環器病研究センター「心血管リハビリテーション科」
確認内容:評価に基づく患者ごとの運動量・強度の設定と包括的な支援を確認。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/treatment/cardio_rehabilitation/
参照日:2026年10月16日
