頻脈
ひとことでいうと
頻脈
頻脈は、年齢や活動状況に対して心拍数が速くなっている状態です。成人では安静時に毎分100回を超える場合を目安とすることがありますが、運動直後、緊張、発熱などでは一時的に速くなるため、数字だけで異常と決めつけないことが大切です。
原因には、運動や不安などの生理的反応のほか、発熱、脱水、貧血、低血糖、甲状腺機能亢進、心不全、薬剤の影響があります。心房細動、上室性頻拍、心室頻拍などの不整脈によって起こる場合もあり、始まり方や脈の規則性、持続時間が判断材料になります。
症状は動悸、息切れ、胸部不快感、めまい、倦怠感などです。心拍が非常に速い状態が続くと、心臓が血液を十分に送り出せず、血圧低下や意識障害につながることがあります。一方、自覚症状がほとんどなく、測定で初めて気づく人もいます。
高齢者では感染症や脱水があっても典型的な訴えが乏しく、食欲低下、ぼんやりする、歩けないといった変化とともに頻脈が現れることがあります。普段の脈拍、体温、血圧、SpO2、服薬状況と比較し、原因を探る視点が必要です。
突然の強い動悸、胸痛、呼吸困難、冷汗、失神を伴う頻脈は緊急性があります。介護現場では安静を保ち、測定値と症状、発症時刻を記録して医療職へ共有します。症状を伴う急な頻脈は速やかな医療判断が必要です。
数字だけでなく原因と症状を確認する
脈が速いときは、直前の歩行、入浴、食事、興奮など一時的な要因がなかったかを確認し、可能なら数分間安静にして再測定します。機器の表示だけでなく、橈骨動脈に触れて速さと規則性をみます。
発熱や水分摂取不足、下痢、嘔吐がある場合は脱水や感染症との関連を考えます。新しい薬の開始、飲み忘れ、市販薬やカフェインの摂取も手がかりです。普段の値との差と症状の組み合わせを記録すると、受診時の判断に役立ちます。
脈が不規則、急に始まって急に止まる、休んでも速さが続く場合は不整脈の可能性があります。胸痛、強い息苦しさ、意識低下、冷汗を伴うときは、繰り返し測定するより緊急対応を優先します。
現場で知っておきたいポイント
頻脈を認めたら、心拍数だけでなく全身状態を同時に確認します。
- 安静時か活動直後かを確認し、発症時刻を記録する
- 脈の速さ、規則性、触れにくさを確認する
- 血圧、体温、SpO2、呼吸数、意識を測る
- 胸痛、動悸、息切れ、めまい、冷汗の有無を聞く
- 水分摂取、発熱、下痢、服薬変更を確認する
活動後なら安全な姿勢で休み、普段の値へ戻るかを観察します。頻脈が続く場合は、測定値と症状をセットで医療職へ報告します。自己判断で心臓の薬を追加・中止しません。
意識障害、失神、強い胸痛、著しい呼吸困難、血圧低下がある場合は、救急要請を含む迅速な対応を検討します。
参考情報・参考文献
国立循環器病研究センター「不整脈」
頻脈性不整脈の種類、症状、診断と治療の概要を確認。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/arrhythmia/
参照日:2026年9月29日
済生会「動悸」
動悸の原因、随伴症状、受診の目安を確認。
https://www.saiseikai.or.jp/medical/symptom/palpitation/
参照日:2026年9月29日
