甲状腺機能亢進症
ひとことでいうと
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺でホルモンが必要以上につくられる状態です。甲状腺ホルモンは全身の代謝などに関わるため、過剰になると多様な症状が現れます。代表的な原因はバセドウ病で、甲状腺を刺激する自己抗体が関与します。甲状腺の結節などによってホルモンが多くつくられる場合もあります。
動悸、脈が速くなる、息切れ、暑がり、多汗、手の震え、体重減少、疲れやすさ、下痢などがみられます。バセドウ病では首の腫れや眼の症状を伴うこともありますが、すべての人に現れるわけではありません。体重や脈、疲れ方など全身の変化を合わせて捉えることが大切です。
血液中で甲状腺ホルモンの作用が過剰な状態は甲状腺中毒症と呼ばれ、機能亢進症のほか、甲状腺炎でホルモンが漏れ出る場合なども含まれます。原因により治療が異なるため、症状だけで区別できません。診断ではホルモンや抗体の血液検査、超音波などを用いて医療職が評価します。
治療は原因と病状に応じて行い、バセドウ病では薬物療法、放射性ヨウ素による治療、手術などが選択されます。定期的な検査に基づく調整が必要で、症状が軽くなっても自己判断で薬を中止しません。介護では脈、食事量と体重、睡眠、活動時の息切れなどを記録し、本人の治療指示に沿って支援します。
全身の変化と治療指示を共有する
疲れやすさや落ち着かなさを性格や年齢のせいにせず、本人が困っていることを確認します。食事量が変わらなくても体重が減る、動作で息切れが増えるなどの変化は、時期とともに伝えます。
室温や衣服は暑がりや発汗の程度に合わせて本人と相談します。汗や下痢が多い場合には飲食量も確認し、水分摂取や活動量の調整は持病と治療指示を踏まえて医療職と相談します。
薬の変更後も体調の経過を記録し、通院・採血予定を共有します。治療によってホルモンの状態が変わることもあるため、服薬量を独自に調整せず、新しい症状や薬への不安を医療職につなげます。
現場で知っておきたいポイント
介助者は病状や治療を判断せず、体調と生活の変化を観察・記録し、医療職へ共有します。
- 脈の速さや動悸、活動時の息切れを普段と比較する。
- 体重、食事量、発汗、下痢、睡眠の変化を記録する。
- 疲れに合わせて休憩や介助の速さを調整する。
- 服薬、定期受診・採血の指示を確認し、中止や増減を独自に行わない。
- 眼の違和感や見え方など、本人の新しい困りごとを共有する。
甲状腺機能低下症と逆の状態として機械的に対応せず、原因と現在の治療内容を確認します。新しい不調は検査結果も踏まえて医療職に評価してもらいます。
高熱、著しい動悸や息苦しさ、意識や反応の変化など急な全身状態の悪化がある場合は、直ちに医療職へ連絡し緊急手順に従います。
参考情報・参考文献
日本内分泌学会「甲状腺中毒症」
甲状腺機能亢進症の定義、原因と甲状腺中毒症との違いを確認。
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=37
参照日:2026年10月5日
隈病院 甲状腺ナビ「バセドウ病」
代表的な原因疾患の症状、検査、治療と服薬継続について確認。
https://thyroid-navi.kuma-h.or.jp/disease/basedow/
参照日:2026年10月5日
