常同行動
ひとことでいうと
常同行動
常同行動とは、同じ形の動作、言葉、行動の流れなどを繰り返す状態を指します。英語ではStereotyped behaviorと表し、常同行為とも呼ばれます。手を繰り返し動かす、同じ言葉を言う、決まった手順に強くこだわるなど、反復する内容や現れ方には幅があります。
認知症の介護では、毎日同じ時刻に同じ場所へ行く、一定の動作を続ける、同じ物を食べ続けるなどの行動がみられることがあります。前頭側頭型認知症の特徴の一つとして知られますが、その行動だけで病名は判断できません。頻度や経過、他の変化も合わせて確認します。
常同的な動作や言葉は、認知症以外にも自閉スペクトラム症や知的発達に関わる状態などでみられます。背景や意味は同じではなく、気持ちを落ち着けたり、感覚を調整したりする働きがある場合もあります。高齢者に新しく生じた反復行動を、発達に関わる状態と同じものとして扱いません。
毎朝散歩するなどの習慣や好きな活動を、それだけで常同行動と判断しません。また、記憶できず同じ質問をする場合など、繰り返しにも別の背景があります。生活への影響と本人の負担を確認し、害がない行動を一律に止めず、必要な支援を考えます。
繰り返す行動は止めたほうがよい?
対応を考える際は、繰り返す回数より、何が起こっているかを具体的に見ます。本人が落ち着いて安全に過ごせているのか、皮膚の傷や疲労、食事・睡眠への支障があるのかを確認します。繰り返していること自体を、制止する理由にしないことが大切です。
いつ始まり、どんな場面で増え、何があると切り替わるかを記録します。不安、退屈、身体の不快感、慣れない環境なども確認し、本人の生活歴や好みと合わせて考えます。行動が安心につながっている場合は、安全な範囲で続けられるよう、使う物、場所、休息の取り方を工夫します。
生活に支障があるときは、慣れた手順を生かして食事や活動へつなぐ、本人が受け入れやすい別の活動を提案するなど、無理に取り上げる以外の方法を検討します。一度に大きく予定を変えると不安が強まる場合もあるため、反応を見て調整します。急に行動が増えた、傷や摂取不足があるなどの場合は、観察内容を医療職へ伝えます。
現場で知っておきたいポイント
繰り返す動作や言葉を具体的に観察し、本人の安心、安全性、生活への影響をもとに支援の必要性を考えます。
- 記録:行動の内容、時刻、続く時間、直前の出来事、切り替わった条件を記録し、「常同」の一言だけで済ませません。
- 背景:生活歴、習慣、不安、退屈、痛みや排泄などを確認します。同じ質問でも、記憶の変化が背景の場合があります。
- 安全:皮膚の傷、転倒、疲労、飲食や睡眠への影響を確認し、安全に続けられる物や場所、休息の機会を整えます。
- 対応:害がない行動を一律に止めません。生活に支障がある場合は、本人が受け入れやすい活動や手順へつなぎます。
- 共有:有効だった関わりと本人の反応を家族・多職種で共有し、担当者ごとの急な制止や予定変更を減らします。
急な変化、傷、食事・水分の不足などは医療職へ報告します。症状だけで病名を判断せず、以前との違いと経過を伝えて評価・対応を相談します。
参考情報・参考文献
国立長寿医療研究センター「認知症・せん妄サポートチームマニュアル」
確認内容:前頭側頭型認知症の特徴として常同行為や時刻表的な生活などがみられること。
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/documents/DST2016.pdf
参照日:2026年10月14日
国立長寿医療研究センター「よくある質問・Q&A」
確認内容:前頭側頭型認知症での一定の行動や言葉の反復、行動・言語の変化との関係。
https://www.ncgg.go.jp/dementia/about/answer.html
参照日:2026年10月14日
Great Ormond Street Hospital「Stereotypies – repetitive movements or sounds」
確認内容:反復する動作や音声、認知症以外の状態でもみられること、生活への影響と本人の負担を確認する視点。小児向け資料の対応を高齢者へそのまま適用しない。
参照日:2026年10月14日
