改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
ひとことでいうと
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、日本で広く使われる認知機能のスクリーニング検査です。HDS-Rの略称で知られ、英語ではRevised Hasegawa’s Dementia Scaleなどと表記されます。認知症が疑われる人を見つけ、詳しい評価につなぐ補助的な検査であり、知能や人格の価値を測るものではありません。
見当識、言葉や物の記憶、計算、注意・作業記憶、言語の流暢性などを、主に質問への応答を通して確認します。9項目で構成され、合計は0〜30点です。一般に20点以下では認知症が疑われる目安とされますが、これは確定診断の境界ではなく、点数が高くても問題がないとは限りません。
同じく認知機能のスクリーニングに使うMMSEとは別の検査です。どちらも30点満点ですが、HDS-Rは記憶を重視し、書字や図形模写などの動作性課題を含めない構成です。評価項目と採点方法が異なるため、同じ点数を同じ能力や重症度として置き換えることはできません。
点数だけで認知症や要介護度、意思決定能力を決めません。体調、緊張、聴力、言語の障害などの影響も確認し、病歴、診察、生活の変化や必要な検査と合わせて医師が判断します。設問や採点を自己流に変えず、正式な方法と利用条件を確認して実施します。
合計点に加え、実施条件と生活での困りごとを共有する
検査結果をケアに活かす際は、合計点だけでなく、どのような説明が伝わりやすかったか、何を覚えにくかったかなども参考にします。ただし一つの誤答から日常の能力を断定せず、服薬、買い物、会話など実際の場面で確認します。メモや予定表が役立つかなど、本人の希望に沿って援助の方法を考えます。
検査されること自体に不安や抵抗を感じる人もいます。目的を分かりやすく説明し、静かな場所と聞こえやすい条件を整え、疲労や痛みに配慮します。家族や職員が日常的に同じ問題で試したり、正答を練習させたりしないことが大切です。過去の実施歴や再検査の必要性は専門職で共有します。
結果を伝えるときは「何点だから何もできない」という表現を避け、保たれている力と必要な支援を具体的に説明します。本項は検査の意味を理解するための解説であり、設問全文や用紙は掲載しません。実施には正規の資料を用い、手順と採点、検査情報の取り扱いに関する条件を確認してください。
現場で知っておきたいポイント
検査点数を本人への評価のすべてにせず、実施条件と暮らしの情報を合わせて共有します。
- 説明:目的を短く伝え、不安や疲労を確認します。拒否や強い負担があるときは無理に進めず、担当の専門職へ相談します。
- 条件:日時、場所、聴力や言語、体調、使用中の薬などを記録します。普段と違う眠気や痛みも結果と一緒に伝えます。
- 方法:正式な手順と採点を守ります。自己流のヒントや家族の助言で点数を上げず、実施上の制約を明記します。
- 解釈:合計点と項目ごとの様子を、生活上の変化と照らします。点数だけで診断や外出制限、本人の意思を決めません。
- 支援:覚えやすい伝え方や道具を日常場面で試します。結果を家族・医療・介護職で共有し、できることも記録します。
急な反応低下や混乱があるときは、通常の認知機能低下と即断せず身体状態の評価を優先します。経過が気になる場合は、検査を繰り返すだけでなく医師へ相談してください。
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参考情報・参考文献
加藤伸司「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の理解と活用」老年臨床心理学研究 2023;4:47–55
確認内容:正式名称、目的、判定の限界、実施・解釈とケアへの活用。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcgp/4/0/4_47/_pdf/-char/ja
参照日:2026年10月16日
国立長寿医療研究センター「認知症の検査」
確認内容:英語表記、30点満点・20点以下の目安、MMSEとの違い。
https://www.ncgg.go.jp/hospital/ictr/crnd/general/general04.html
参照日:2026年10月16日
日本神経学会監修「認知症疾患診療ガイドライン2017」第2章
確認内容:認知機能検査の位置づけ、総合的な診断と評価。
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_02.pdf
参照日:2026年10月16日
