大動脈瘤
ひとことでいうと
大動脈瘤
大動脈瘤は、心臓から全身へ血液を送る大動脈の壁が弱くなり、血管の一部がこぶのように拡張する病気です。胸にできる胸部大動脈瘤と、お腹にできる腹部大動脈瘤などがあります。血管の壁が裂ける大動脈解離とは異なりますが、解離の後に大動脈が拡張する場合もあります。
背景には動脈硬化や加齢、高血圧、喫煙などが関係します。生まれつきの体質や血管の炎症などが関わる場合もあり、原因は一つではありません。大きさや形、拡大の速さによって破裂の危険性が変わるため、痛みの有無だけで安全性を判断することはできません。
多くは症状が乏しく、別の病気の検査などで偶然見つかります。部位によっては胸や背中、お腹の痛みなどが現れます。高齢者では他の病気も重なりやすく、日常の体調変化を普段の不調と決めつけないことが大切です。破裂した場合は大量出血により急速に危険な状態になります。
診断や経過確認には超音波検査やCTなどを用います。状態に応じて血圧管理や定期的な画像検査を続け、必要な場合は人工血管に置き換える手術やステントグラフト治療を検討します。治療の時期と方法は専門医が判断します。介護では受診の継続と、医療職から指示された生活管理を支えます。
症状がなくても定期検査が必要な理由
大動脈瘤は痛みがなくても大きくなることがあります。「元気に動ける」「お腹が痛くない」というだけで受診を中断せず、医師が決めた画像検査を続けます。検査は大きさだけでなく、形や前回からの変化を評価するためにも重要です。
日常生活では、処方された薬の使用や血圧の記録を支えます。力む動作や重い物を持つことなど、どこまで活動してよいかは状態によって異なります。介助者が一律の運動制限を決めず、本人の診療方針に沿って医療職へ確認します。
治療後も他の部位の変化などを確認する必要があります。手術を受けたから通院は不要と考えず、受診予定、注意する症状、困ったときの連絡先を本人・家族・支援者で共有しておきます。
現場で知っておきたいポイント
介助者は病状や治療を判断せず、体調と生活の変化を観察・記録し、医療職へ共有します。
- 新しく現れた胸、背中、お腹の痛みや、痛みの強さ・始まった時刻を記録する。
- 顔色、冷汗、息苦しさ、意識や反応など普段との違いを確認する。
- 指示された血圧測定や服薬、定期受診を支える。
- 排便時の強いいきみや力仕事について、医療職からの生活上の指示を確認する。
- お腹を強く押したり、痛みを我慢させて歩行・運動を続けたりしない。
日常の活動範囲は医療職と相談します。症状が乏しくても、定期検査を自己判断で中断しないことが大切です。
突然の激しい胸・背中・腹部の痛み、冷汗、失神や反応の低下がある場合は、通常の経過観察を続けず、救急要請を含む速やかな医療評価につなげます。
参考情報・参考文献
国立循環器病研究センター「大動脈瘤と大動脈解離」
病気の違い、症状、治療と日常生活上の注意を確認。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/aortic-aneurysm_dissection/
参照日:2026年10月5日
国立循環器病研究センター「腹部大動脈瘤」
無症状で進行する特徴と治療判断の概要を確認。
https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/vascular/vascular-tr-06/
参照日:2026年10月5日
