アニマルセラピー
ひとことでいうと
アニマルセラピー
アニマルセラピーは、動物とのふれあいを医療・介護・教育などで生かす取り組みの広い呼び名です。日本でこの名称が使われる活動の多くには、治療だけでなく、交流やレクリエーションを通じて生活の質を支える活動も含まれます。名称だけで医療上の療法とは判断できません。
動物介在療法はAnimal-assisted therapy(AAT)といい、専門職が本人に応じた治療目標を設定し、動物を治療過程に取り入れて評価する支援です。一方、動物介在活動はAnimal-assisted activities(AAA)といい、ふれあいによる楽しさや交流などを主な目的とします。英語欄はこの二つを併記しています。
介護の場では、動物を眺める、触れる、ハンドラーと話すなどの関わりが、会話や気持ちの表現のきっかけになる場合があります。ただし、動物が好きか、過去に怖い経験がないかなどを確かめ、本人が望む距離や関わり方を尊重することが前提です。
期待される効果には個人差があり、認知症の症状や心身機能が必ず改善すると断定することはできません。アレルギー、感染、けが、転倒の危険を検討し、人と動物の双方の安全と福祉を守れる体制で行う必要があります。
治療目標の有無と動物の福祉を確認する
施設に動物が来る活動でも、交流の機会を提供するものと、専門職が個別の治療計画に組み込むものでは位置付けが異なります。導入時には目的・担当者・評価方法を確認し、すべてを動物介在療法と呼ばないようにします。動物介在教育という教育目的の取り組みもあります。
本人の楽しそうな表情だけを成果とせず、会話や参加の変化、不安、疲れ、活動後の体調も観察します。動物が苦手な人や参加を希望しない人には、動物のいない場所で過ごせるようにします。認知症がある場合も、言葉と表情・しぐさから意向を確かめ、接触を強制しません。
動物は支援の道具ではなく、健康や安心を守られるべき存在です。健康管理や適性の確認を行い、その動物を理解するハンドラーが関わります。人が喜んでいても、動物に逃げようとする様子や疲労などがあれば、休憩や中止を選びます。
手指衛生、活動場所、接触方法、事故時の連絡手順は施設と担当者で事前に共有します。免疫が低下している人や呼吸器症状のある人などの参加は、一律に決めず、看護職・医師と個別に検討します。
現場で知っておきたいポイント
動物との交流を行う前に、本人の希望と体調、活動の目的、安全管理の体制を確認します。
- 動物への好み、恐怖感、アレルギーを尋ね、参加しない選択や距離を置く方法も用意します。
- 健康と適性を確認した動物と、行動を理解して管理できるハンドラーが参加するようにします。
- 接触の前後に手指衛生を行い、顔や傷をなめさせず、排泄物との接触を避けます。
- 動物やリードが動線をふさがない配置にし、急な立ち上がりや転倒を予防します。
- 本人の疲れや不安と動物のストレスを観察し、無理に抱かせたり長時間続けたりしません。
活動の種類、参加方法、本人の反応を記録し、次回の関わり方を見直します。楽しさだけでなく、動物の休息と安心も確保してください。
発疹、息苦しさ、咬傷や引っかき傷が生じた場合は中止し、看護職などへ速やかに報告して必要な対応を確認します。
参考情報・参考文献
日本動物病院協会「アニマルセラピー 人と動物のふれあい活動(CAPP)」
アニマルセラピーの広い用法と、動物介在活動・動物介在療法・動物介在教育の目的の違いを確認。
https://www.jaha.or.jp/hab/capp/
参照日:2026年10月10日
国立病院機構 宇都宮病院「アニマルセラピー」
医療現場における動物介在療法と動物介在活動の位置付け、英語表記と略語の対応を確認。
https://utsunomiya.hosp.go.jp/about/cnt1_00070.html
参照日:2026年10月10日
日本動物病院協会「参加できる動物」
動物の健康管理、適性、飼い主・ハンドラーとの参加、無理な参加によるストレスへの配慮を確認。
https://www.jaha.or.jp/hab/capp/variety/
参照日:2026年10月10日
米国疾病予防管理センター(CDC)「H. Animals in Health-Care Facilities」
Animal-Assisted Activities/Therapyの英語表記、手指衛生、アレルギー、動物の健康・行動管理などの安全対策を確認。
参照日:2026年10月10日
