改訂水飲みテスト(MWST)
ひとことでいうと
改訂水飲みテスト(MWST)
改訂水飲みテスト(Modified Water Swallowing Test:MWST)は、少量の水を飲み込んだときのむせや呼吸の変化などを観察し、嚥下機能を簡便に確認するスクリーニング検査です。
一般的な手順では冷水3mLを用い、嚥下の有無、むせ、呼吸状態の変化などを観察して1〜5点で評価します。評価基準には追加嚥下の確認を含むものがあり、採用する手順に沿って判定します。
水を使用するため、誤嚥が疑われる方に安易に実施することは危険です。意識状態や呼吸状態などを踏まえて適応を判断し、訓練を受けた専門職が安全確保のもとで行う必要があります。
RSSTが唾液の反復嚥下回数を確認する検査であるのに対し、MWSTは実際に少量の水を用いる点が異なります。どちらも検査結果だけで誤嚥の有無を確定するものではありません。
評価に使う水量や判定方法は、施設の手順と採用する文献に合わせて統一します。咳が出ない誤嚥もあるため、検査中にむせが見られなかったことだけをもって安全と判断しないことが重要です。
湿性嗄声とは、飲み込んだ後などに声が湿ってガラガラと聞こえる状態です。声の変化も呼吸状態と合わせて観察しますが、それだけで誤嚥と確定せず、必要に応じて専門職が嚥下造影や嚥下内視鏡などの追加評価を検討します。
少量の水でも安全性を先に判断する
MWSTは少量の冷水を使う検査ですが、少量なら誤嚥しても安全という意味ではありません。意識、呼吸、唾液を処理できるかなどを確認し、嚥下評価に習熟した医療職が実施の可否を判断します。介助者が飲めるか試すために自己流で行わないことが大切です。
一般的な手順では冷水3mLを口腔底に入れ、嚥下を促します。水量・注入位置・姿勢を採用した手順に合わせる必要があります。量を増やす、食品に置き換える、とろみを加えるなど条件を変えた結果は、同じ検査結果として単純に比較しません。
評価では嚥下の有無だけでなく、むせ、湿った声、呼吸の変化、追加嚥下の可否を確認します。1〜5点は飲めた水量の段階ではありません。手順書の判定と繰り返し条件を確かめ、どの所見からその点数になったのかを記録して共有します。
むせがなくても不顕性誤嚥は否定できません。結果が良好でも、食事では一口量、食品の性質、姿勢、疲労で状況が変わります。食事中の症状や既往と合わせ、必要に応じて医師・看護師・言語聴覚士へ相談し、追加評価や食事方法の検討につなげます。
現場で知っておきたいポイント
MWSTは水を用いるため、適応判断と観察が欠かせません。誤嚥の危険を軽視せず、
- 実施の適否:MWSTは少量の水を使うため、誤嚥の危険が高い人へ安易に実施しません。意識状態、呼吸状態、唾液の処理状況などを確認し、検査を行うかどうかを嚥下評価に習熟した医療職が判断します。
- 水量と注入:一般的な改訂水飲みテストでは3mLの冷水を用いる手順が知られています。水の量、口腔内へ入れる位置、姿勢は採用した手順に従い、自己流で量を増やして判定しないようにします。
- 呼吸・声の変化:飲み込めたように見えても、むせ、呼吸の変化、湿った声などが生じることがあります。嚥下直後だけでなく規定された観察時間を守り、呼吸状態と声質の変化を確認して評価に反映します。
- 評価基準:MWSTは一般に1〜5点で評価しますが、点数は単純な「飲めた量」ではありません。むせ、呼吸切迫、湿性嗄声、追加嚥下の可否など、採用した評価票の各段階を照合して判定します。
- 誤嚥の見落とし:少量の水で明らかなむせがなくても、不顕性誤嚥や食事中の問題を完全には除外できません。食事場面の観察や他の検査結果と統合し、必要に応じて専門的な嚥下評価へつなげます。
点数と観察所見、実施条件を医療職へ共有します。検査結果だけで安全な経口摂取を保証せず、食事場面の情報と合わせて判断します。
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参考情報・参考文献
公益財団法人 長寿科学振興財団「第3章 食事,摂食・嚥下 3.摂食・嚥下障害の評価」
冷水3mL、口腔底への注入と1〜5点の判定を確認。
https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-3-1-3.html
参照日:2026年10月21日
日本脳卒中学会「急性期脳梗塞による嚥下障害における改訂水飲みテストと1%とろみつき水飲みテストの併用法の有用性について」
脳梗塞患者での臨床的な活用と他の評価との併用を確認。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/39/1/39_10377/_article/-char/ja
参照日:2026年10月20日
日本リハビリテーション医学会「脳卒中患者における食物嚥下と液体嚥下」
不顕性誤嚥など、水飲みテストの感度と限界を確認。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/49/11/49_838/_article/-char/ja
参照日:2026年10月20日
