後鼻漏
ひとことでいうと
後鼻漏
後鼻漏とは、鼻汁が鼻腔の奥から咽頭へ流れる現象です。英語ではPostnasal Dripと表し、PNDと略すことがあります。鼻水が前へ出るのではなく、のど側へ回るため、鼻水よりものどの違和感として訴えられる場合があります。
鼻水の一部がのどへ回ること自体は生理的に起こります。ただし、分泌物の量が増えたり粘りが強くなったりすると、のどに付く感じ、何かが落ちる感じ、咳払いなどの不快感が生じます。後鼻漏は症状・現象を示す言葉で、それだけで原因となる病気を特定するものではありません。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などに伴ってみられ、上咽頭の炎症も関わることがあります。分泌物がのどや気管を刺激して咳につながる場合がありますが、咳の原因を後鼻漏だけに決めつけません。喘息や感染症、胃食道逆流など、別の原因が重なる可能性も考えます。
本人が鼻からの分泌物を痰と表現することもあるため、鼻づまりや鼻水、咳と分泌物が増える場面を確認します。不快感や咳が続く場合は、耳鼻咽喉科などで原因を評価します。介護では症状の経過と食事・睡眠への影響を具体的に伝え、医療職の指示に沿って支援します。
のどの分泌物が鼻からか気道からかを確認する
「痰がのどに絡む」という訴えがあるときは、鼻水がのどへ流れる感じがあるか、鼻づまりやくしゃみもあるかを聞きます。一方、胸から咳とともに痰が上がる場合もあります。本人の言葉と実際の症状を分けて整理し、介助者だけで分泌物の出どころを断定しないようにします。
鼻汁や咳払いが多い場合は、増える時間帯、横になったときの変化、食事や睡眠への負担を記録します。鼻の治療中は使用している薬や処置と症状の変化を共有します。鼻洗浄が有効なこともありますが、温度や濃度、方法を誤ると粘膜や耳を痛めるおそれがあるため、医師の指導なしに一律に勧めません。
鼻症状以外の変化も確認します。咳が悪化する、発熱や血の混じる分泌物がある、息苦しさを伴う場合は、後鼻漏によるものと決めつけず医療職へ相談します。症状が長引く場合は原因の評価が必要です。受診後も、処置や薬で変わった点と残る困りごとを記録し、支援者間で引き継ぎます。
現場で知っておきたいポイント
後鼻漏では、鼻の症状とのどの違和感を合わせて観察します。ご利用者様がどのように感じているかも記録し、原因評価につなげます。
- 鼻水・鼻づまりを確認します。くしゃみ、分泌物の量や粘り、色、においなど、本人が気づく変化も合わせて聞きます。
- のどへ流れる感じや咳払いの頻度を確認します。胸から出る痰との違いを聞き、分からない場合は不明として伝えます。
- 時間帯・姿勢との関係を見ます。横になったとき、起床時などに増えるかを観察し、食事や睡眠への影響を記録します。
- 薬・処置後の変化を共有します。点鼻薬や鼻洗浄は指示された方法を確認し、自己判断で薬を増やしたり処置を追加したりしません。
- 発熱・血の混入・息苦しさなどを確認します。咳や不快感が悪化する場合は、後鼻漏だけが原因と考えず相談します。
症状が続く場合は耳鼻咽喉科などでの評価を相談します。訴え、観察した変化、治療後の様子を引き継ぎ、医療職の指示を確認して支援します。
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参考情報・参考文献
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」
後鼻漏の意味、鼻炎・副鼻腔炎との関係、検査と鼻洗浄時の注意を確認しました。
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=16
参照日:2026年10月13日
日本鼻科学会「慢性副鼻腔炎における後鼻漏の原因とその治療」
Postnasal Drip・PNDの英語表記、副鼻腔炎と分泌物の粘りや量の関係を抄録で確認しました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi1982/37/4/37_4_279/_article/-char/ja/
参照日:2026年10月13日
日本呼吸器学会「Q2. せきとたんが3週間以上続きます。」
後鼻漏と咳・痰の関係、長引く症状のほかの原因や医療機関での評価を確認しました。
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q02.html
参照日:2026年10月13日
