脂質異常症
ひとことでいうと
脂質異常症
脂質異常症は、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が高い、またはHDLコレステロールが低い状態を指します。以前は高脂血症と呼ばれていましたが、脂質が低い場合も含むため名称が改められました。多くの場合、自覚症状が乏しく、血液検査で分かることが特徴です。
背景には食事、運動不足、喫煙などの生活習慣に加え、体質や遺伝、糖尿病などの病気が関わります。長期間続くと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まります。ただし、検査値だけで将来の危険を決めるのではなく、年齢や持病、これまでの病歴を合わせて評価します。
高齢者では、食事量の低下や体重減少、複数の病気や薬の影響も考慮する必要があります。脂質を下げようとして食事を極端に制限すると、低栄養や筋力低下につながるおそれがあります。介護・在宅生活では、本人が続けられる食生活や活動、受診・服薬の支援が重要です。
診断は血液検査などに基づいて医師が行い、生活習慣の調整や必要に応じた薬物療法を組み合わせます。症状がないことと、治療が不要なことは同じではありません。支援者は自己判断で薬を中止せず、生活状況や困りごとを医療職へ共有します。
脂質の管理と低栄養予防を両立する
高齢者の食事では、脂質の検査値を改善することだけでなく、体力や食べる楽しみを保つ視点も必要です。「脂質が高いから」と肉や魚、乳製品などを一律に避けると、エネルギーやたんぱく質が不足することがあります。食べられる量や体重の変化も含め、医師や管理栄養士と方針を相談します。
見直しは、間食や飲酒の習慣、料理の選び方など、本人の生活に合わせて無理なく進めます。病気や嚥下機能に応じて食べやすさを確保することも大切です。減量や食事制限が必要かどうかは、人によって異なります。
介助者は検査値だけを追うのではなく、食欲、食事量、体重、活動性の経過を伝えます。通院が難しい、薬が飲みにくいなどの事情があれば、生活の中で続けられる方法を医療職と一緒に考えます。
現場で知っておきたいポイント
介助者は検査値から治療を判断せず、食事や活動、服薬の様子を把握し、本人の生活に合った支援につなげます。
- 食事量、食欲、体重の変化を記録し、過度な制限や低栄養がないか確認する。
- 日常の歩行や活動量を把握し、本人の体力や安全性に合った活動を支える。
- 服薬の飲み忘れ、飲みにくさ、受診や検査の予定を確認する。
- 新たな筋肉痛や強いだるさなど、服薬後の気になる変化は医療職へ共有する。
- 症状がないことを理由に薬を中止したり、食事を極端に減らしたりしない。
食事と薬の方針は個別に異なります。支援者間で医療職の指示を共有し、無理なく継続できる方法を確認します。
突然の片側の麻痺や言葉の出にくさ、強い胸痛などがあれば、脂質異常症の経過観察として扱わず、救急要請を含む速やかな医療評価につなげます。
参考情報・参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症 / 高脂血症」
脂質異常症の定義、旧称、動脈硬化との関係を確認。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-029.html
参照日:2026年10月4日
日本動脈硬化学会「脂質異常症診療のQ&A」
診断・治療の考え方と、症状がなくても管理が必要な理由を確認。
https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/
参照日:2026年10月4日
