5月に辞めたくなるのは普通です|介護職の5月病はなぜ起こる?構造的な理由と対処法

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もくじ

はじめに

「なんとなくしんどい」
「理由ははっきりしないけど、仕事に行くのが重い」

4月は何とか乗り切れたのに、
5月に入ってから急に気持ちが落ちてきた――

そんな感覚を抱えていないでしょうか。

介護の現場でも、この時期に同じような状態になる方は少なくありません。

ただ、この状態を

「自分が弱いからだ」
「向いていないからだ」

と捉えてしまうと、必要以上に自分を追い込んでしまいます。

実際には、これは個人の問題ではなく、
ある程度“起こりやすい流れ”があります。

この記事では、
介護職が5月にしんどくなりやすい理由を構造的に整理しながら、
その状態との向き合い方と、現場で実践できる対処法を解説していきます。

介護職が5月にしんどくなるのはなぜか?

4月を何とか乗り切ったはずなのに、
5月に入ってから急に気持ちが落ちる。

この感覚には、きちんと理由があります。

いわゆる「5月病」とは何か

一般的に言われる「5月病」は、
環境の変化によって生じるストレス反応のひとつです。

4月は、

  • 新しい環境
  • 新しい人間関係
  • 新しい業務

に適応しようと、無意識に緊張状態が続きます。

この時期はアドレナリンのような“踏ん張り”が効いているため、
多少無理をしていても動けてしまいます。

しかし5月に入ると、

  • 環境に少し慣れてくる
  • 緊張が緩む

ことで、その反動が一気に表面化します。

その結果として、

  • 疲れがどっと出る
  • やる気が出ない
  • 気分が落ちる

といった状態が現れます。

つまり5月病は、

長谷川

「急に弱くなった」のではなく、
“これまでの負荷が表に出てきた状態”といえます。

介護職は特に5月病になりやすい

この“反動”はどの仕事でも起こり得ますが、
介護職は特に影響を受けやすい環境です。

理由はいくつかあります。

まず一つ目は、人間関係の距離が近いこと

ご利用者様との関わりはもちろん、
スタッフ同士も密に連携する必要があります。

そのため、

  • 合わない人がいても距離を取りにくい
  • 気を遣い続ける時間が長い

といった負担が蓄積しやすくなります。

二つ目は、ミスが許されにくいプレッシャー

介護の現場では、

  • 転倒
  • 誤嚥
  • 事故

といったリスクが常に隣り合わせにあります。

そのため、

「ミスをしてはいけない」という意識が強くなり、
無意識のうちに緊張状態が続きます。

三つ目は、身体的・精神的な負担の大きさ

  • 体を使う介助
  • 不規則な勤務
  • 感情労働(気を遣う仕事)

これらが重なることで、
想像以上にエネルギーを消耗します。


こうした要素が重なることで、

4月に無理をして踏ん張る → 5月に一気に落ちる

という流れが起きやすくなります。


ここまで見てきたように、
5月にしんどくなるのは特別なことではありません。

ただし、ここで問題になるのは、
この状態をどう捉えるかです。

次では、もう一歩踏み込んで、
「辞めたくなる」という気持ちが生まれる構造について整理していきます。

5月に辞めたくなる“構造的な理由”

「なんとなくしんどい」だけでなく、

もう辞めたい

と感じてしまうのには理由があります。

それは気分の問題ではなく、
いくつかの要因が重なって起きる“構造”です。

①「できない自分」と向き合い続ける環境

新人のうちは、

  • ミスをする
  • 指摘を受ける
  • 思うようにできない

こうした経験が毎日のように続きます。

本来、これは成長の過程として必要なものですが、
問題はその“頻度と密度”です。

  • できない場面が続く
  • 指摘される回数が増える
  • 成功体験が少ない

この状態が続くと、少しずつ

自分はダメなんじゃないか…

という感覚が積み重なっていきます。

自信は、一度に崩れるのではなく、
日々の小さな積み重ねで削られていくものです。

②正解がない仕事によるストレス

介護の現場は、

  • ご利用者様ごとに状態が違う
  • 状況が毎回変わる
  • 明確な正解がない

という特徴があります。

そのため、

「これで良かったのか」
「他にもっといい方法があったのではないか」

と、常に不安が残りやすい仕事です。

新人のうちは特に、

  • 判断の基準がまだない
  • 自信を持って決められない

状態のため、

“正解が分からないまま動き続けるストレス”がかかります。

これが、じわじわとメンタルに負荷をかけていきます。

③人間関係の密度が高い

介護の現場は、

  • スタッフ同士の連携が必須
  • ご利用者様との関わりも深い

という特徴があります。

つまり、

人との距離が近い仕事です。

この環境では、

  • 気を遣う時間が長い
  • 合わない人とも関わり続ける必要がある

といった状況が生まれやすくなります。

さらに新人の場合は、

  • 分からないことを聞く
  • 指導を受ける

立場でもあるため、

精神的な負担はより大きくなります。

人間関係のストレスは、
目に見えにくい分、蓄積しやすい負荷です。

④頑張りすぎた反動(4月の無理)

4月は、

  • 新しい環境に慣れる
  • 早く覚えようとする
  • 迷惑をかけないようにする

といった意識から、無意識に無理をしています。

この時期は、

  • 緊張感
  • 責任感
  • 不安

が重なり、“踏ん張り”が効いている状態です。

しかしこの状態は長くは続きません。

5月に入って少し落ち着いたタイミングで、
エネルギーが一気に切れることがあります。

これが、

  • やる気が出ない
  • 何もしたくない
  • 辞めたい

といった感覚につながります。


ここまで見てきたように、
「辞めたい」という気持ちは突発的なものではなく、

  • 自信の低下
  • 不安の蓄積
  • 人間関係の負荷
  • エネルギー切れ

これらが重なった結果として生まれています。

つまり、
気持ちの問題ではなく、“起こりやすい流れ”の中にいる状態です。

そしてこの状態に入ると、もう一つ起きやすいことがあります。

長谷川

それが、ミスの増加です。

実は“ミスが増える時期”でもある

5月に入ってから、

「なぜかミスが増えた気がする」
「今までできていたことがうまくいかない」

そんな感覚を持つ方も少なくありません。

これも、気のせいではありません。

メンタルが落ちると判断力が落ちる

人は余裕があるときほど、

  • 周囲を見る
  • 確認をする
  • 一つ一つの行動を丁寧に行う

ことができます。

しかし、気持ちが落ちているときは、

  • 視野が狭くなる
  • 注意力が散る
  • 判断が雑になる

といった変化が起こります。

その結果、

  • 声かけが抜ける
  • 確認が甘くなる
  • タイミングがズレる

といったミスにつながります。

つまりミスは、技術の問題というより“状態の影響”を強く受けるものです。

焦り→ミス→さらに落ちる悪循環

ミスが増えると、

「またやってしまった」
「自分はダメだ」

と感じてしまい、さらに余裕がなくなります。

すると、

  • 焦りが強くなる
  • 判断がさらに乱れる
  • ミスが増える

という流れに入りやすくなります。

焦り → ミス → 自信低下 → さらに焦る

この循環に入ると、短期間で一気にしんどくなります。

これは誰でも起こる

ここで知っておいてほしいのは、

長谷川

この状態は特別なことではないということです。

新人の方だけでなく、

  • 環境が変わったとき
  • 疲労が溜まっているとき
  • プレッシャーが強いとき

には、誰にでも起こり得ます。

つまり、
「ミスが増えている=能力が低い」ではないということです。


このように、5月の状態とミスは切り離せない関係にあります。

ミスを減らすためには、
単純に「気をつける」だけではなく、

長谷川

“なぜミスが起きているのか”を理解することが重要です。

新人介護職がやりがちなミスの具体例や、
できる人との違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉新人のミスは防げる|介護職で見てきた“できる人とできない人の違い”

では、このしんどい状態を抜けるためには、
どのように考え、行動していけばいいのか。

5月のしんどさを抜けるための考え方

ここまで読んで、

「理由は分かったけど、やっぱりしんどい」

と感じている方もいると思います。

その感覚は自然なものです。

だからこそ大切なのは、
無理に気持ちを上げようとすることではなく、
“考え方を少し整えること”です。

①「今はそういう時期」と理解する

まず前提として、

今の状態は一時的なものである可能性が高いです。

4月に無理をしてきた反動が、
5月に出ているだけとも言えます。

このときに、

「自分は向いていない」
「もうダメかもしれない」

と結論づけてしまうと、
必要以上に自分を追い込んでしまいます。

大切なのは、

“今はそういう時期にいる”と捉えることです。
それだけでも、気持ちの余白は少し生まれます。

長谷川

だから我慢しろってことではなく、
余白を作ることが大切です。

②完璧を目指さない

しんどいときほど、

「ミスをしないようにしよう」
「ちゃんとやらなければ」

と、自分に厳しくなりがちです。

しかしこの状態で完璧を目指すと、

  • 余裕がなくなる
  • さらにミスが増える
  • 自信を失う

という流れに入りやすくなります。

だからこそ、

「6割できればOK」と基準を下げることが大切です。

これは手を抜くという意味ではなく、
“今の状態に合わせて負荷を調整する”という考え方です。

結果的に、その方が安定して動けるようになります。

③“比較対象”を変える

もう一つ大きいのが、比較の仕方です。

  • 先輩と比べる
  • 周りの同期と比べる

こうした比較は、自信を失う原因になりやすいです。

なぜなら、
前提条件が違う人と比べているからです。

経験も、慣れも、状況も違う中で比較しても、
苦しくなるだけです。

長谷川

そこでおすすめなのが、
「昨日の自分」と比べることです。

  • 昨日より少し落ち着いて対応できた
  • 1つ声かけが増えた

それだけで十分です。

小さな変化に目を向けることで、
少しずつ自信は積み上がっていきます。


この3つに共通しているのは、

“無理に頑張る方向ではなく、整える方向に意識を向けること”です。

しんどい時期を抜けるためには、
まず土台を安定させることが重要です。

今日からできる具体的な対処法

考え方を整えることは大切ですが、
それだけでは状態はなかなか変わりません。

ここでは、現場の中で無理なく実践できる対処法を3つ紹介します。

ポイントは、
「頑張る」のではなく「負荷を調整する」ことです。

①負荷を下げる(やることを減らす)

しんどいときほど、

  • ちゃんとやらなければ
  • もっと頑張らないと

と考えがちですが、
この状態で無理を重ねると逆効果になります。

まず意識したいのは、

“やることを増やす”のではなく、“減らす”ことです。

例えば、

  • 完璧にやろうとしている部分を見直す
  • 優先順位をつけて、重要なことに絞る
  • 「今はここだけやる」と決める

こうすることで、

  • 頭の負担が減る
  • ミスが減る
  • 気持ちに余裕が生まれる

といった変化が出てきます。

長谷川

余裕は“作るもの”です。
自然には生まれません。

②誰かに言葉にして話す

しんどさが続くと、

  • 頭の中でぐるぐる考える
  • 同じことを繰り返し悩む

状態になりやすいです。

このとき有効なのが、

“外に出すこと”です。

  • 信頼できる先輩
  • 同期
  • 家族や友人

相手は誰でも構いません。

大事なのは、
「整理された話」でなくてもいいということです。

言葉にして話すだけで、

  • 感情が整理される
  • 客観的に見られる
  • 一人で抱えている感覚が減る

といった効果があります。

③小さな成功体験を作る

しんどい時期は、

  • できていないこと
  • 失敗したこと

に意識が向きがちです。

その状態が続くと、
「何をやってもダメだ」という感覚が強くなります。

だからこそ意識的に、
“できたこと”を作ることが重要です。

長谷川

ポイントは、
小さく設定することです。

例えば、

  • 今日は1回しっかり声かけをする
  • 1つだけ丁寧に振り返る

これで十分です。

そして、
「できた」という事実をきちんと認識すること。

これを積み重ねることで、

  • 自信が少しずつ戻る
  • 行動が安定する

といった変化につながります。


ここで紹介した3つは、どれもシンプルですが、
実際に状態を立て直すうえで効果の高い方法です。

共通しているのは、
“無理に上げる”のではなく、“下げて整える”という発想です。

それでもなお、

「どうしてもつらい」
「限界かもしれない」

と感じる場合は、
無理に踏ん張り続けることが正解とは限りません。

それでもしんどいときの判断基準

ここまで、考え方や対処法についてお伝えしてきました。

それでも、

「どうしてもしんどい」
「このまま続けていいのか分からない」

そう感じる場合もあると思います。

そのときに大切なのは、
“根性で続けるか、辞めるか”の二択ではなく、
自分の状態を基準に判断することです。

無理に続けることが正解ではない

介護の仕事はやりがいも大きい一方で、
負担も決して小さくありません。

だからこそ、

  • しんどくても続けるべき
  • 辞めるのは甘え

といった考え方に縛られてしまうと、
必要以上に自分を追い込んでしまいます。

ですが実際には、

無理を続けることで状態が悪化するケースも少なくありません。

  • 体調を崩す
  • メンタルが落ち込み続ける
  • 仕事そのものが嫌いになる

こうなる前に、一度立ち止まることも大切です。

続けることだけが正解ではないという視点を持っておいてください。

環境を変えるという選択肢

しんどさの原因が、

  • 業務量
  • 人間関係
  • 指導のスタイル

など、環境にある場合も多くあります。

このとき、

「自分がもっと頑張れば何とかなる」

と考え続けると、同じ状態が続いてしまいます。

だからこそ、

環境を見直すという選択肢も現実的に考えることが必要です。

例えば、

  • 配属先の相談をする
  • 上司に状況を伝える
  • 転職も視野に入れる

環境が変わるだけで、
同じ人でもパフォーマンスが大きく変わることは珍しくありません。

転職についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
👉介護職が転職を考えるべきサイン7つ|「まだ大丈夫」と思っている人へ

自分を守ることが最優先

長谷川

最終的に大切なのは、
「自分が壊れないこと」です。

  • 仕事に行くのが極端につらい
  • 眠れない、食欲がない
  • ずっと気分が落ちている

こうした状態が続いている場合は、
すでに負荷が高すぎるサインかもしれません。

この段階で無理を重ねると、
回復に時間がかかることもあります。

だからこそ、
「まだ大丈夫」と我慢し続ける前に、行動することが重要です。


しんどいときに必要なのは、
気合いや根性ではなく、

“適切に判断して、自分を守ること”です。

ここまで読んでいただいた方は、
すでに自分の状態と向き合おうとしています。

それだけでも十分、大きな一歩です。

まとめ|5月に落ちるのは“普通の反応”

ここまで、介護職が5月にしんどくなりやすい理由と、
その状態への向き合い方について整理してきました。

改めて大切なポイントをまとめると、

  • この時期に気持ちが落ちるのは、特別なことではない
  • 個人の問題ではなく、構造的に起きている
  • 適切に対処すれば、少しずつ抜けていく

ということです。

「しんどい」と感じているときほど、
人はその原因を自分の中に求めがちです。

  • 自分が弱いから
  • 向いていないから

そう考えてしまうと、
必要以上に自分を追い込んでしまいます。

しかし実際には、
状態には理由があり、流れがあります。

だからこそ大切なのは、

無理に気持ちを上げようとすることではなく、
今の状態を正しく理解し、整えていくことです。


そしてもう一つ。

一人で抱え続けないこと。

少しでも余裕を作りながら、

  • 負荷を調整する
  • 誰かに話す
  • 小さな変化を積み重ねる

こうした行動を通して、状態は確実に変わっていきます。


5月に落ちるのは、
“弱さ”ではなく、無理をしてきた結果としての反応です。


焦らず、少しずつ。

自分の状態に合わせて整えていけば、
この時期は乗り越えていくことができます。

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この記事を書いた人

介護に関わる全ての人へ。
心あるケアは、技術にできる。
理学療法士が現場で培った“考え方と介護技術”を伝える実践ブログです。

合同会社やしのき 代表
理学療法士/訪問看護ステーション・福祉用具貸与事業所を運営。
現場での経験をもとに、
・介護技術を YouTube(登録者15万人) で発信。
・介護分野の書籍出版にも携わる。
・CayluBase(ケイルベース) を運営。
(居宅介護サービス事業所向けに事務・帳票・運営を支える)

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