はじめに

「どう声をかければいいのかわからない」
「何気なく言った一言で怒らせてしまった」
「正しい対応がわからず、不安になる」
そんな経験はありませんか?
認知症のご利用者様との関わりでは、
ほんの一言がきっかけで、関係がうまくいかなくなることもあります。



その一言で関係が悪くなることもあります。
だからこそ、声かけに悩むのはとても自然なことです。
でも、大丈夫です。
難しい技術が必要なわけではありません。
少し伝え方を変えるだけで、
- 怒りにくくなる
- 安心してもらえる
- スムーズに介助できる
といった変化が生まれます。
この記事では、
- 言ってはいけない言葉
- 正しい声かけ
- すぐに使える具体例
を、現場視点でわかりやすく解説していきます。
今日からすぐに実践できる内容になっていますので、
ぜひ一つずつ取り入れてみてください。
なぜ声かけで反応が変わるのか
“言葉”は刺激になる
認知症のご利用者様にとって、言葉は単なる情報ではありません。
その一言が「安心」にも「不安」にもなる、非常に強い刺激になります。
同じ内容でも反応が変わるのは、ここに理由があります。
認知機能の低下による受け取り方の変化
同じ言葉でも違う意味で伝わる
認知症では、言葉を正しく理解する力が低下します。
- 一部だけを切り取って受け取る
- 文脈がつながらない
- 意図と違う意味で理解してしまう
その結果、
「急いでください」が「怒られている」と感じる
「もう一度やりましょう」が「否定された」と受け取られる
といったズレが生まれます。
不安・恐怖が反応を強くする
言葉のトーン=安心 or 不安
認知症のご利用者様は、常に不安や混乱を抱えています。
その状態では、かけられた言葉のトーンがそのまま感情に直結します。
- 穏やかな声かけ → 安心
- 強い言い方 → 不安・恐怖
言葉のトーンは“感情を増幅させるスイッチ”になります。
感情が優先される
内容より“言い方”
認知症のご利用者様は、言葉の「意味」よりも
「どう言われたか(感情)」を強く受け取ります。
- 声のトーン
- 表情
- 距離感
- 話すスピード
これらが、そのまま安心感に直結します。
正しいことを言っていても、言い方次第で不安になるのです。
結論
「何を言うか」より「どう伝えるか」



声かけは“説明”ではなく、安心を届ける技術です。
この構造を理解するだけで、
ご利用者様の反応は大きく変わっていきます。


やってはいけないNGワード
認知症のご利用者様への声かけで、
知らず知らずのうちに使ってしまいがちな言葉があります。
一見すると普通の会話でも、
受け取り方によっては不安や混乱を強めてしまうことがあります。



ここでは、特に注意したいNGワードを解説します。
否定する言葉



「違います」
「それはおかしいです」
認知症のご利用者様にとって、
自分の認識を否定されることは大きなストレスになります。
結果
- ・混乱が強くなる
- ・不安が増す
- ・拒否や怒りにつながる
ポイントは、
事実を正すことよりも、安心を優先することが重要です。
責める言葉



「なんでできないの?」
できないことを指摘されると、
自尊心が傷つき、不安や怒りにつながります。
結果
- 自信を失う
- 介助を拒否する
- 関係性が悪化する
ポイントは、
“できないこと”ではなく、“できること”に目を向けることが大切です。
急かす言葉



「早くして」
急かされることで、
焦りや混乱が強くなります。
結果
- 動作がさらに遅くなる
- ミスが増える
- 転倒リスクが上がる
ポイントは、
ペースを合わせることが、安全にもつながります。
指示が強すぎる言葉



「ちゃんとして」
曖昧で強い言葉は、
何をすればいいのかわからず混乱を招きます。
結果
- 不安が強くなる
- 行動が止まる
- 拒否につながる
ポイントは、
短く・具体的に伝えることが重要です。
共通点
これらの言葉に共通しているのは👇
不安を強める言葉であること
認知症のご利用者様は、
ただでさえ不安を抱えています。
その状態で強い言葉をかけられると、
さらに混乱し、行動が不安定になります。
声かけで大切なのは
「正しさ」ではなく「安心」
【状況別】正しい声かけ
ここでは、現場や在宅でよくある場面ごとに、
NGな声かけと正しい声かけを具体的に紹介します。
そのまま使える形でまとめているので、ぜひ参考にしてください。
何度も同じことを聞くとき
記憶が残らない状態で否定されると、
不安や混乱が強くなります。



OK:「大丈夫ですよ、今〇〇ですよ」
毎回“初めて聞かれた”前提で答えることが大切です。
安心できる声かけを意識しましょう。
怒りっぽい・暴言があるとき
対立が生まれ、さらに興奮しやすくなります。



OK:「びっくりしましたよね」「嫌でしたよね」
行動ではなく“感情”に目を向けて、
受け止めることが重要です。
帰りたいと言うとき
現実を押し付けることで、不安が強くなります。



OK:「帰りたいですよね」「少し休んでからにしましょうか」
共感を優先し、安心できる流れに誘導します。
介助を拒否するとき
強制されることで、拒否がさらに強くなります。



OK:「一緒にやってみましょうか」
“一緒に”という言葉で安心感を作り、
行動につなげます。
夜間に不安定になるとき
夜は不安が強くなりやすく、
強い対応は逆効果になります。



OK:「大丈夫ですよ、ここにいますよ」
存在を伝え、安心感を与えることが大切です。
ポイント
- 否定しない
- 感情に寄り添う
- 安心を優先する



この3つを意識するだけで、
ご利用者様の反応は大きく変わります。
介護が楽になる声かけのコツ
正しい言葉を知ることも大切ですが、
それ以上に重要なのが“伝え方のコツ”です。
ここを押さえるだけで、
ご利用者様の反応は大きく変わり、介護そのものが楽になります。
短く・シンプルに伝える
情報量を減らす
認知症のご利用者様は、
一度に多くの情報を処理することが難しくなっています。



「トイレに行ってから手を洗って、
そのあと部屋に戻りましょうね」



「トイレに行きましょう」
ポイントは、
“1文を短くする”だけで理解しやすさは大きく変わります。
一度に一つだけ伝える
混乱を防ぐ
複数の指示を同時に出すと、
何をすればいいのかわからなくなります。



「立って、靴を履いて、あっちに行きましょう」



①「立ちましょう」
②「靴を履きましょう」
ポイントは、
1つずつ段階的に伝えることで、成功体験につながります。
肯定から入る
安心感を作る
最初の一言が、その後の反応を大きく左右します。



「まだできていませんよ」



「いいところまでできていますね」
ポイントは、
まず認めることで、安心して行動しやすくなります。
表情・トーンを意識する
言葉以上に重要
認知症のご利用者様は、
言葉の意味よりも“感情”を強く受け取ります。
重要な要素
- 穏やかな表情
- ゆっくりした話し方
- 優しい声のトーン
ポイントは、
同じ言葉でも、表情とトーンで“安心”にも“不安”にも変わります。
プロの視点
声かけは単なるコミュニケーションではありません。
「行動を引き出すための環境調整の一つ」です。
- 情報量をコントロールする
- 感情を安定させる
- 行動しやすい流れを作る



この3つを意識することで、
ご利用者様の動きは自然と変わっていきます。
ポイントまとめ
- 短く伝える
- 一つずつ伝える
- 肯定から入る
- 感情を意識する



この4つを意識するだけで、
介護のストレスは確実に軽減できます。


よくある失敗
ここまで声かけのポイントをお伝えしてきましたが、
実際の現場では、ついやってしまいがちな“もったいない対応”があります。
少し意識するだけで変えられる部分なので、軽く押さえておきましょう。
正論で伝えてしまう



「それは違います」
「こうしないとダメです」
正しいことでも、
ご利用者様にとっては“否定”として受け取られることがあります。
ポイントは、
正しさよりも安心を優先することが大切です。
イライラが出てしまう
忙しい中での介護では、
どうしても感情が出てしまうことがあります。
ただ、ご利用者様は
その“空気感”を敏感に感じ取ります。
ポイントは、
一度間をとるだけでも、伝わり方は変わります。
声かけが長くなる
説明しようとするほど、
言葉が長くなりがちです。
しかし結果として、
- 理解しづらい
- 混乱する
につながってしまいます。
ポイントは、
短く・シンプルに伝えることを意識する
まとめ
- 正論になりすぎない
- 感情を整える
- 短く伝える



この3つを意識するだけでも、
声かけの質は大きく変わります。
まとめ
その一言で、関係は大きく変わります。
認知症のご利用者様との関わりは、
特別な技術だけで変わるものではありません。
- どんな言葉を選ぶか
- どう伝えるか
その積み重ねが、安心感につながり、
結果として介護のしやすさにも大きく影響します。
すべてを一度に変える必要はありません。



まずは1つ、試してみることが大切です。
今日から使える声かけを、
1つだけ実践してみてください。
その小さな変化が、
ご利用者様との関係を、そして介護そのものを、
少しずつ楽にしていきます。










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