はじめに
― 悩む介助者・学びたい人・これから介護に関わるすべての方へ ―
2026年を迎え、介護の現場はこれまで以上に厳しさを増しています。
人手不足、業務量の増加、体への負担、不安定な将来像——
「このまま介護を続けていけるのだろうか」
そう感じている介助者の方も、決して少なくないはずです。
一方で、
「介護技術を学び直したい」
「もっとご利用者様にとって安全で、楽な介助ができないだろうか」
と前向きに考えている方もいるでしょう。
そしてこれから介護の仕事に関わろうとしている方の中には、介護業界の現実や未来が見えず、不安を感じている方もいるかもしれません。
2026年の介護業界は、我慢と根性で続ける時代の終わりと学びと工夫で続けられる介護への転換期のちょうど境目にあると考えられます。
この記事では、
- 2026年の介護業界がどこへ向かっているのか
- なぜ「介護技術」がこれまで以上に重要になるのか
- 介助者自身を守りながら、介護を続けるための視点
を、現場目線でわかりやすくお伝えします。
介護で悩んでいる方も、
これから学びたい方も、
そして介護の未来を知りたい方も——
2026年の介護業界はどうなる?まず押さえたい全体像
2026年の介護業界は、もはや「これまでの延長線上」で考えられる状況ではなくなりつつあります。
人手不足、高齢化の進行、制度改定への対応——
複数の課題が同時に重なり、現場の負担は確実に増しています。
一方で、悲観的な変化ばかりではありません。
介護技術の見直し、福祉用具の活用、ICTの導入などにより、
介護の在り方そのものを変えられる土台が整い始めている年
それが2026年です。
「耐え続ける介護」から「工夫して続ける介護」へ。
その分かれ道が、今まさに目の前にあります。
高齢化と要介護者数の増加が意味すること
後期高齢者(75歳以上)は今後も増え続け、
要介護認定を受けるご利用者様の数も、確実に増加しています。
要介護度が高いご利用者様が増えるということは、
単純に「人数が増える」だけでなく、
- 移乗・排泄など身体介助の負担増
- 医療的ケアや観察項目の増加
- 事故リスクの上昇
といった介助の質と責任が重くなることを意味します。
しかしその一方で、介護を担う人材は思うように増えていません。
「一人の介助者が支える人数が増える」
これが2026年の介護現場における揺るがない前提条件です。
だからこそ、これまでと同じやり方では、現場がもたなくなります。
人手不足が当たり前になる介護現場
2026年の介護現場では(すでにそうなっている現場も多く聞きますが)、
- 常に人が足りない
- 新人をゆっくり教える余裕がない
- ベテラン介助者に負担が集中する
といった状況が、特別なトラブルではなく「通常運転」になっています。
その結果、
- 無理な移乗介助
- 本当は必要な観察が後回しになる
- 介助者自身が疲弊し、離職につながる
という悪循環が生まれやすくなっています。
この状況で必要なのは、
「もっと頑張ること」ではありません。
根性や気合ではなく、仕組みと技術で負担を減らす発想が、これまで以上に重要になっています。
2026年は「我慢する介護」からの転換点
これまでの介護現場では、
「しんどくても頑張るのが当たり前」
「腰を痛めても仕方ない」
「忙しいから雑になるのはしょうがない」
といった価値観が、無意識のうちに共有されてきました。
しかし2026年は、その考え方を続けること自体が大きなリスクになると強く認識すべき時代です。
- 介助者が壊れてしまう
- 技術が継承されない
- ご利用者様の安全が守れない
こうした未来を防ぐためにも、
「我慢する介護」から「守れる介護」への転換が求められています。
2026年は、介護の現場にいる一人ひとりが
「このやり方でいいのか?」と立ち止まり、見直すことができる大きな節目の年です。

2026年も続く介護人材不足と現場への影響
なぜ介助者が増えないのか
介護人材不足の原因は、ひとつの理由で語れるほど単純ではありません。
しかし現場の声を拾っていくと、共通して挙がる課題があります。
まず、身体的負担の大きさ
移乗介助や体位変換、長時間の立ち仕事は、腰・膝・肩への負担が非常に大きく、慢性的な腰痛や疲労を抱えながら働いている介助者も少なくありません。
「好きで始めた仕事だけど、身体がもたない」という理由で離職を選ぶ方も多いのが現実です。
次に、給与と責任のバランスの問題
ご利用者様の生活や命に直結する仕事でありながら、責任の重さに対して報酬が見合っていないと感じる介助者は多くいます。
事故やトラブルへの不安を抱えながら働く中で、「この働き方を何年も続けられるだろうか」と将来に疑問を持つのは自然なことです。
そして、将来像の見えにくさ
スキルアップやキャリアアップの道筋が見えづらく、「経験を積んだ先に何があるのか分からない」と感じている方も少なくありません。
これらの要因が重なり合い、結果として離職が続き、人材が定着しにくい構造が生まれています。
人手不足が介助の質に与える影響
人手不足は、現場の「忙しさ」だけの問題ではありません。
介助の質そのものに、確実に影響を与えています。
人が足りない状況では、
本来なら複数人で行うべき場面で無理な移乗介助をしてしまったり、
ご利用者様一人ひとりの状態変化に気づくための観察の時間が削られたりします。
また、焦りや疲労が重なることで、
転倒・転落・皮膚トラブルなど、事故リスクの増加にもつながります。
こうした状況が続くと、介助者自身の心身の余裕が失われ、
「丁寧に関わりたい」という本来の思いとのギャップに苦しむことになります。
2026年に求められる現実的な対策
このような状況の中で、
「人を増やせば解決する」という考え方だけでは、すでに限界があります。
だからこそ2026年は、今いる人で現場をどう守るかが重要なテーマになります。
具体的には、
誰が行っても一定の安全と質が保てるような介護技術の標準化。
力に頼らず、ご利用者様にも介助者にも負担の少ない方法を、現場全体で共有していくことが欠かせません。
また、福祉用具の積極的な活用も重要です。
「まだ使わなくていい」「慣れていないから不安」という理由で導入を遅らせるのではなく、
早い段階から正しく使うことで、事故予防と負担軽減の両立が可能になります。
さらに、動線や手順を見直し、無駄な動きを減らす工夫。
小さな改善の積み重ねが、1日の疲労度やケアの質を大きく変えていきます。
2026年は「気合と根性で乗り切る介護」から、
技術と仕組みで支える介護へと、本気で転換していく年にしていきたいですね。
介護現場で重要になる介護技術の考え方
力任せの介護が通用しなくなる理由
人手不足が慢性化するなかで、現場ではすでに限界が見え始めています。
特に深刻なのが、腰痛をきっかけに離職する介助者の増加です。
「人が足りないから」「早く終わらせないといけないから」と、
つい力に頼った移乗介助を続けた結果、身体を壊してしまうケースは後を絶ちません。
2026年は、
力で持ち上げる介護=リスクの高い介護
という認識が、現場・管理者・事業所全体にさらに広がる年になります。
力任せの介護は、
- 介助者の腰や肩を壊す
- ご利用者様の恐怖心や不安を強める
- 転倒や事故につながりやすい
- さらに離職者が増える
という「誰も得をしない介護」になりやすいからです。
これからは、
「できる人が頑張る」「体力のある人に任せる」
といった属人的な介護では、現場は回らなくなります。
安全に、長く、続けられる介護であるかどうかが、
技術そのものに強く求められる時代に入っています。
ご利用者様の動きを引き出す介助
これからの介護技術の中心にあるのは、
「持ち上げる」ことではなく、動きを引き出すことです。
具体的には、
- ご利用者様の残存能力を活かす
「まだできる動き」「反応できるタイミング」を見極めることで、
全介助だった動作が、一部介助に変わることも少なくありません。 - 重心・姿勢・タイミングを整える
立ち上がりや移乗は、力ではなく“準備”が8割です。
足の位置、体幹の向き、声かけのタイミングが合うだけで、
驚くほどスムーズに動けるケースもあります。 - 介助者が抱え込まない
身体も、責任も、一人で抱えない。
適切なポジショニングや福祉用具を使い、
「一人でやらない介護」を当たり前にしていくことが重要です。
このような介護は、
ご利用者様の「自分でできた」という自信につながり、
結果としてADLや意欲の維持・向上にも良い影響を与えます。
技術を学ぶ人が生き残る時代へ
2026年は、
「何年働いてきたか」よりも、
「どんな介護をしているか」が評価される時代になります。
どの分野もそうですが、年功序列ではなく、実力主義が主流です。
これまでのように、
「見て覚える」「自己流でやってきた」
というやり方だけでは、通用しなくなってきています。
- 正しい身体の使い方、
- ご利用者様の動きを引き出す考え方
- 事故を予測し、未然に防ぐ視点
こうした再現性のある技術を学び、説明できる介助者は、
どの現場でも必要とされる存在になります。
逆に言えば、
技術を学ばず、力任せの介護を続けることは、
自分自身の首を絞める選択になりかねません。
2026年は、介護技術を学ぶことが「自己防衛」になる時代です。
そして、学び続ける介助者こそが、
これからの介護現場を支えていく存在になっていくと思います。
加速する介護×テクノロジーの現実
介護ICT・AIはどこまで進む?
2026年の介護現場では、
ICTやAIは「一部の先進的な施設だけのもの」ではなくなっています。
すでに多くの現場で、
- 記録の電子化(タブレット・音声入力など)
- 見守りセンサー(離床・転倒リスクの検知)
- 業務効率化ツール(スケジュール管理、情報共有)
が導入され始めており、「紙と記憶だけで回す介護」からの脱却が進んでいます。
特に人手不足が深刻な現場ほど、
人の代わりではなく、人を助ける道具として
テクノロジーの活用が不可欠になっています。
ただし重要なのは、
AIやICTが“介護をしてくれる”わけではないという点です。
あくまで、介助者が本来やるべきことに集中するための補助役。
この認識を持てるかどうかで、現場の使いこなし方は大きく変わります。
テクノロジーで減らせる負担・減らせない負担
テクノロジーによって、確実に減らせる負担があります。
減らせるのは、
- 書類作成や転記などの事務作業
- 毎日同じことを繰り返すルーティン業務
- 情報の抜け・漏れを防ぐための確認作業
これらは、
「人がやらなくてもよい仕事」
として、今後さらに自動化が進んでいくでしょう。
一方で、どうしても減らせない負担もはっきりしています。
減らせないのは、
- 状況を見て判断する力
- 不安を和らげる声かけ
- ご利用者様の気持ちに寄り添う心のケア
これらは、
データやセンサーでは代替できない人にしかできない介護の本質です。
介助者が振り回されないための考え方
テクノロジーが進むほど、
「新しいシステムについていけない」
「覚えることが増えて大変」
と感じる介助者も増えていきます。
だからこそ大切なのが、
「使われる側」ではなく「使いこなす側」になる意識です。
導入されたツールを
「とりあえず言われたから使う」のではなく、
- 何のためのツールなのか
- どの負担を減らすためのものなのか
- 現場の動きに合っているのか
を考えながら使うことで、
テクノロジーは強力な味方になります。
逆に、目的が曖昧なまま導入されたICTは、介助者の負担を減らすどころか、新たなストレスの原因にもなりかねません。
2026年は、
テクノロジーを「怖がる年」でも
「過度に期待する年」でもありません。
上手に距離を取りながら、現場を守るために使う。
その姿勢こそが、これからの介助者に求められる新しいスキルになっていきます。

2026年の介護制度・報酬改定の考え方
制度は「現場を守る視点」に変わるのか
近年の介護制度・報酬改定では、処遇改善加算の拡充や業務効率化の推進など、
「現場を支えよう」という方向性は確かに見られます。
しかし、2026年時点での現実は、
- 処遇改善があっても実感できない
- 業務量に対して人手が追いつかない
- 書類やルールが逆に増えている
と感じている介護従事者は多いのではないでしょうか。
制度は確実に前進していますが、
「今、目の前の現場を守れるほど十分か?」と問われると、まだ足りていないのが正直なところです。
2026年の制度は、
「現場を守る方向には向かっているが、守りきれてはいない」
そんな過渡期にあります。
制度に期待しすぎない方がいい理由
介護制度を考えるうえで、必ず理解しておきたい前提があります。
それは、制度はいつも“現場の後追い”であるということです。
- 現場で問題が起き
- 声が上がり
- 時間をかけて議論され
- ようやく制度に反映される
つまり、
- 人手不足が深刻化してから
- 介助者が疲弊してから
- 事故や離職が増えてから
初めて動くのが制度です。
だからこそ、
「制度が何とかしてくれる」
「次の改定まで待とう」
という姿勢では、現場も介助者自身も守れません。
介助者が主体的に動く時代
2026年の介護業界では、制度を待つ人よりも、
自分から動ける介助者が守られる時代に入ってると考えられます。
具体的には、
- 正しい介護技術を身につける
- 福祉用具や環境調整を理解する
- 無理な介助を「仕方ない」と流さない
といった、
知識と技術による自己防衛が欠かせません。
制度はあくまで土台。
その上で現場を支えるのは、一人ひとりの介助者の判断と技術です。
なお、
直近の介護制度・賃金改定の流れや、介助者の収入・働き方への影響については、
以下の記事で詳しく解説しています。
制度を正しく知ることは、「期待しすぎないため」にも、
「うまく活用するため」にも重要です。
制度に振り回される年ではなく、
制度を理解したうえで、自分を守る選択ができる年
にしていきましょう。
介護で悩んでいる人が見直すべき視点
「自分が悪い」と思わなくていい
介護の現場で悩んでいると、
ついこんなふうに考えてしまいがちです。
- 自分の要領が悪いからしんどい
- 技量が足りないから余裕がない
- 向いていないのかもしれない
でも、その多くはあなた個人の問題ではありません。
- 人手が足りない
- 業務量が多すぎる
- 教育やフォローの時間がない
まず大切なのは、
「自分を責める視点」から一度離れること。
介護がつらいと感じるのは、真剣に向き合っている証拠でもあります。
環境を変える・学び直すという選択
介護の悩みを抱えたとき、
「耐える」以外の選択肢があることを、
忘れないでほしいと思います。
たとえば、
- 正しい介護技術を学び直す
- 他の介助者や専門職に相談する
- 職場や働き方を見直す
これらは決して逃げではありません。
環境が変われば、
同じ仕事でも負担の感じ方は大きく変わります。
知識が増えれば、
「どうすれば楽になるか」が見えてきます。
悩んだときこそ、視野を少し広げてみることが大切です。
続けるための介護を考える
どれだけ想いがあっても、
身体や心が壊れてしまえば、
介護を続けることはできません。
続けられない介護に、未来はありません。
2026年の介護業界では、
「頑張り続ける人」よりも、「無理をしない仕組みを選べる人」が長く現場に残っていく時代になります。
- 腰を守る介護
- 一人で抱え込まない介護
- 学びながら成長できる介護
こうした視点を持つことは、ご利用者様にとっても、
介助者自身にとってもプラスになります。
介護を続けるために、まずは自分を守る選択をしていい。
このことを、どうか忘れないでください。
2026年の介護業界で求められる人材像
「何でもやる人」から「考えて介助できる人」へ
これまでの介護現場では、
「とにかく動ける人」「何でも引き受ける人」が
評価されやすい傾向がありました。
しかし2026年は、
- どうすれば安全か
- どこを工夫すれば楽になるか
- これは本当に必要な介助か
考えながら介助できる人が、より求められるようになるかと思います。
量より質。
頑張り方も、変わってきています。
技術を言語化できる介助者の価値
「見て覚えて」「やって覚えて」だけでは、人が育たない時代になりました。
これから価値が高まるのは、
- なぜこの立ち位置なのか
- なぜ今声をかけるのか
- なぜこの順番なのか
介護技術を言葉で説明できる介助者です。
言語化できる人がいる現場は、
事故も減り、チームも安定しやすくなります。
教えられる人が現場を支える
人手不足の時代だからこそ、
「一人で抱え込む人」より「周りを育てられる人」が大切になります。
- ちょっとした声かけ
- 短いアドバイス
- 失敗しにくい関わり方
完璧でなくて構いません。
2026年に求められるのは、
特別なスーパースターではなく、
現場を支える“考えられる介助者”です。

Q&A
Q. 2026年の介護業界で最も重要なことは何ですか?
A.
2026年の介護業界では、人手不足を前提に「無理をしない介護技術」と「仕組みづくり」が最も重要です。介助者自身を守りながら、ご利用者様の安全と生活を支える視点が求められます。
Q. 介護がきついと感じたら辞めるべきですか?
A.
すぐに辞める必要はありませんが、学び直しや環境の見直しは重要です。正しい介護技術を知ることで、身体的・精神的負担が大きく減る場合があります。
Q. これから介護業界に未来はありますか?
A.
介護そのものはなくなりません。2026年以降は、「続けられる介護」を実践できる人材に価値が集まる時代になると思います。
まとめ|2026年、介護に関わるあなたへ
2026年の介護業界は、
決して楽な一年ではありません。
人手不足は続き、
現場の負担が急に軽くなることもないでしょう。
制度や仕組みも、すぐに現場を救ってくれるとは限りません。
それでも、ひとつ確かなことがあります。
介護の価値そのものがなくなることはありません。
むしろ2026年は、
「どう介護をするか」
「どう働き続けるか」
を一人ひとりが選び直す年です。
力任せではなく、考える介護。
我慢ではなく、続けられる介護。
一人で抱え込まず、学び合う介護。
こうした選択ができる人ほど、
これからの介護現場で長く、安心して働けます。
もし今、
しんどさや迷いを感じているなら、それはあなたが弱いからではありません。
時代の変わり目に立っているだけです。
2026年は、
「耐える介護」から
「守りながら続ける介護」へ。
ご利用者様のために、そしてあなた自身のために、
少しずつでも視点を変え、無理のない介護を選んでいきましょう。
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